<出席者紹介>
Hiro師匠 セガのFM音源サウンド黄金期を築き上げた名コンポーザー。代表作は「スペースハリアー」「アウトラン」「アフターバーナー」「ファンタジーゾーン」等多数。S.S.T.BANDではキーボードを担当した。 |
光吉猛修 歌って踊れるセガの名コンポーザー。代表作は「R-360」「デイトナUSA」「セガラリー」「シェンムー」等多数。作曲以外では「バーチャファイター」の影丸などの声も担当している。また、アニメ版「バーチャファイター」では主題歌「愛が足りないぜ」で歌手としても有名。S.S.T.BANDではR三郎丸という名前でHiro師匠に代わってキーボードを担当した。 |
|
|
|
|
●S.S.T.BAND結成前夜 |
|
|
原: |
1980年代後半から1990年代前半のゲームミュージックバンドブームがあって、その中でもS.S.T.BANDの人気は高かったと思うんですが、S.S.T.BAND結成前に、セガのサウンドスタッフだけでライブをやっていますよね?池袋のサンシャイン60で行われた「アフターバーナーパニック」というイベントだったそうですが。 |
|
|
Hiro: |
はい。ほんとにパニックになった奴ですね。 |
|
|
光吉: |
あはは(笑) |
|
|
原: |
実は、この時の様子が載っている当時の雑誌を持ってきたんですが、Hiroさんの言葉通り「スタッフもパニック」と書いてますね(笑)。 |
|
|
大野: |
ゲームイベントの一部だったよね。クイズとかやったりして。 |
|
|
光吉: |
(雑誌記事を見ながら)「商品に目がくらみ暴徒と化した観衆」だって(笑)。 |
 |
|
|
|
(一同笑) |
|
|
大野: |
あの時はとにかく間を持たせようと、ステージの下から「伸ばせ伸ばせ」って必死になってた(笑)。
|
|
|
Hiro: |
電源が落ちたようなイメージなんだけど。 |
|
|
大野: |
シーケンサーが止まったんだよね。復帰したんだっけ? |
|
|
Hiro: |
復帰できたんだけど、2回ぐらいシーケンサーが読み込まなくて。なんか、並木(晃一)に言わせると俺のせいって言う。 |
|
|
原: |
(笑) |
|
|
Hiro: |
“Magical
Sound Shower”が始まんなかったんだよね。イントロが終わると曲が止まった。 |
|
|
原: |
いいところで(笑)。 |
|
|
Hiro: |
そうそう。 |
|
|
|
(一同笑) |
|
|
Hiro: |
この頃はDATとかなかったから
ね。MC-500を持って行って、それでシーケンサーでオケを鳴らしていた。 |
|
|
光吉: |
怖いですね。 |
|
|
大野: |
なんで、林(克洋)君が「しょうがないんで踊ります」みたいな(笑)。 |
|
|
光吉: |
(雑誌を見ながら)ああ、書いてます。「ファンキーK.Hがステージ上に飛び出しやおら踊り始める」って(笑)。 |
|
|
|
(一同笑) |
 |
|
|
大野: |
なんかやっとけ、みたいな(笑)。 |
|
|
Hiro: |
そうそう。 |
|
|
光吉: |
困った時の林さんだったんですね(笑)。 |
|
|
大野: |
僕は、林君ってダンサーなのかなって思った(笑)。 |
|
|
|
(一同爆笑) |
|
|
光吉: |
腰の動きが尋常じゃないですからね(笑)。 |
|
|
Hiro: |
この時のビデオがまだどっかにあるよきっと。一回も見てないけど。 |
|
|
光吉: |
見たいなぁ。 |
|
|
大野: |
たしか最後は、予定していた曲ができなくて。クリスマスの頃だったんで、しょうがないんで並木君が「クリスマスの曲をやります」って(笑)。 |
|
|
原: |
この時は、バンドは4人編成だったんですよね? |
|
|
Hiro: |
並木と俺と林君と、あとベースのさちおさん。 |
|
|
光吉: |
小川(幸男)さんですか? |
|
|
Hiro: |
そうそう。 |
|
|
原: |
ところで、「アフターバーナーパニック」を企画したのは、セガだったんですか?それともアルファレコードだったんです? |
|
|
大野: |
どうだったかな。でも、アルファレコードのGMOがサイトロンレーベルに変わるきっかけがこのイベントで、ここでポニーキャニオンっていう第3のメーカーさんが出てきたんだよね。で、ポニーキャニオンが映像(ビデオ)の商品化、アルファはレコードの商品化、そしてセガの三社でやるような感じで。 |
|
|
|
|
|
●S.S.T.BAND初期の裏話 |
|
|
原: |
先ほど話をお聞きした「アフターバーナーパニック」がきっかけで、S.S.T.BANDをやることになったんですか? |
|
|
大野: |
この頃、アルバムを作る時にアーティスト表記をするみたいな流れがあって、S.S.T.BANDっていう名前でやりましょうってことだったと思う。 |
|
|
原: |
名前が出るのは、他のメーカー、例えばコナミ(矩形波倶楽部)とかの方が先でしたよね。 |
|
|
大野: |
ほぼ同時だったと思いますよ。矩形波、ZUNTATA、S.S.T.って。 |
|
|
原: |
S.S.T.BANDの最初の頃のCDは、基本的に打ち込みで作られてるようなんですが、Hiroさんが自分でアレンジするよりは、プロの方にこういう曲にしてほしいって感じで頼んだんですか? |
|
|
Hiro: |
あ、いや、知らないうちに(笑)。作曲者の思惑が絡んでないところで、なんか勝手に決まってて。 |
 |
|
|
原: |
え、そうなんですか(笑)。 |
|
|
光吉: |
あはは(笑)。 |
|
|
大野: |
アレンジャーは国本(佳宏)さん。 |
|
|
Hiro: |
そうそう。 |
|
|
原: |
CDにお名前出てますよね。 |
|
|
大野: |
でも、打ち合わせして、こうしようとかって無かった? スタジオに来たでしょ。 |
|
|
Hiro: |
一応、呼ばれて行ったけど、口は出してない。 |
|
|
光吉: |
口を出すな、って事ですか?(笑)怖!(笑) |
|
|
Hiro: |
CDとはこういうもんなんだぁって。なんか、そんな感じでやってた気がする。 |
|
|
原: |
じゃあ、ご自分でやってないんですね。 |
|
|
Hiro: |
やってないですね。アレンジャーが国本さんで、マニュピレーターが松前(公高)さん。 |
|
|
大野: |
そのうち弾いてみてとか、そういう係わりだったよね。 |
|
|
Hiro: |
そうですね。 |
|
|
大野: |
メロは、じゃあ、作曲者がやろうかみたいな。 |
|
|
光吉: |
へぇ。 |
|
|
Hiro: |
あ、でも「ハリアー」って、たしか静かなイントロが付いてたじゃないですか。あれは、俺が付けてくれって国本さんに渡した気がする。 |
|
|
原: |
では、Hiroさんが自らやられたのは、「スーパーモナコGP」のテーマ曲とかあの辺ですかね? |
|
|
Hiro: |
ああ、あれなんでしたっけ? |
|
|
原: |
S.S.T.BANDとしては3枚目のCD、「スーパーソニックチーム」ですね。 |
 |
スーパーソニックチーム -G.S.M
SEGA3-
1989年に発売されたS.S.T.BANDの3枚目のアルバム。「アフターバーナー」「アウトラン」「ターボアウトラン」「テトリス」のアレンジと「スーパーモナコGP」のテーマ曲に加え、オリジナル版は「スーパーモナコGP」「ターボアウトラン」「ゴールデンアックス」「テトリス」を収録。 |
|
|
|
Hiro: |
ゲームには曲が入ってなかったんで、イメージ曲を作ろうってことで作った気がする。でも、あれもアレンジは国本さんです。 |
|
|
光吉: |
そうなんだ。 |
|
|
Hiro: |
なんか忙しくて、AメロとBメロしかできなくて、「ハイッ」って渡して、「なんかもう少し展開ほしいんですけど」って言われて、「じゃあ分かりました」って言っているうちに時間が経って、レコーディングの日になったら曲になってました(笑)。 |
|
|
|
(一同爆笑) |
|
|
Hiro: |
アドリブが「ダァー!」って。 |
|
|
光吉: |
妖精が作ってましたか(笑)。 |
|
|
Hiro: |
なんだABの展開だけでいいじゃんって。アレンジャーの力ですね(笑)。 |
|
|
光吉: |
アレンジャーじゃなくて、ほぼ作曲してるじゃないですか(笑)。 |
|
|
|
(一同爆笑) |
|
|
Hiro: |
AB部分は作曲してるから(笑)。それ以外は国本さんのピアノアドリブ。アレンジャーってすげぇと思った。 |
|
|
原: |
じゃあ、自分の曲を他の人がアレンジしたり、いつのまにか作られてても、OKって感じですか? |
|
|
Hiro: |
全然OK。 |
|
|
原: |
俺にやらせろ、みたいには思いませんでしたか? |
|
|
Hiro: |
そういうもんだと思ってたから。あの頃って作曲者がアレンジするってなかったですよね。 |
|
|
大野: |
作曲者がそこまで手をかけるっていうイメージはなかったからね。でも、みんなできるんだって分かってきて、じゃあやってみようって。どこかでサウンドチームの人の作品ということに切り替わるターニングポイントがあったんだと思う。 |
|
|
Hiro: |
S.S.T.の頃は自分でアレンジしてないと思う。プレイヤーとしては参加したけど。 |
|
|
大野: |
レコーディングよりイベントとかライブの方が先に動いてて、国本さんのアレンジをコピーしてバンドで練習するようなノリから入ったんだよね。 |
|
|
Hiro: |
最初はそうですね。 |
|
|
光吉: |
へぇ。 |
|
|
大野: |
最初は89年のメガドライブのスパークリングライブだよね。 |
|
|
Hiro: |
合宿やった時ですよね。伊豆で。 |
|
|
大野: |
リハはあそこでやったじゃん。音羽のライトスタジオの2階で。 |
|
|
Hiro: |
あぁ。 |
|
|
大野: |
最初のリハを見に行った時の事は覚えてる。そこで、顔会わせしてさ、松前君とか飯島丈治とか。で、最初は、タイプの違う連中が揃った感じがして「あ、やばいかも」と思った(笑)。 |
|
|
光吉: |
なんか分かるぞ、その雰囲気(笑)。 |
|
|
|
|
|
●メンバー交代の真相 |
|
|
原: |
S.S.T.BANDで、Hiroさんと光吉さんが入れ替わる理由は何だったんでしょうか? |
|
|
Hiro: |
俺が遅刻したから。 |
|
|
 |
光吉: |
そうそう。いろんなところで言ってるんですけど、師匠が軽いシエスタをするんで(笑)。 |
|
|
原: |
その話は本当だったんですか? |
|
|
光吉: |
当時はすごかったですよね。遅刻もそうですけど、寝てたり(笑)。 |
|
|
Hiro: |
まぁ寝てるのは普通だけど、遅刻がひどくて。 |
|
|
大野: |
S.S.T.の活動が仕事に響いたとか? |
|
|
Hiro: |
いや、全然関係ない。まったく関係ない(笑)。 |
|
|
|
(一同笑) |
 |
|
|
|
|
|
Hiro: |
ただ単に来なかった(笑)。20日出勤があったら20日ぐらい遅刻してた。 |
|
|
光吉: |
全部じゃないですか(笑)。 |
|
|
|
(一同爆笑) |
|
|
光吉: |
僕は僕で、(鈴木)裕さんにすごくアピールしてたんですよ。「S.S.T.やりたいんです!」って。
|
|
|
Hiro: |
で、裕さんに「じゃあ、次から光吉だって」言われて。 |
|
|
光吉: |
でも師匠少し喜んでたでしょ(笑)。 |
|
|
Hiro: |
その時は、練習とかだんだんめんどくさくなってきてたんで(笑)、「あ、そうですかぁ……」って言いながら、実は「ラッキー!」って(笑)。
|
|
|
光吉: |
すごい晴れ晴れしい顔をしてた(笑)。 |
|
|
大野: |
S.S.T.の初仕事って何だったの? |
|
|
光吉: |
僕は、その時「R-360」やってたんですよね。で、“Earth
Frame
G”って曲があるんですけど、「フォーミュラ」でその曲のレコーディングをやったのが初めてだと思います。 |
 |
フォーミュラ -G.S.M
SEGA5-
1991年に発売されたS.S.T.BANDの5枚目のアルバム。「R-360」「ラッドモービル」「シャイニング&ザ・ダクネス」「GPライダー」のアレンジと初のオリジナル曲「ベルデアウィンド」に加え、オリジナル版は「R-360」「ラッドモービル」「GPライダー」「レーザーゴースト」「サイバードーム」を収録。 |
|
|
|
原: |
途中から参加したということで、苦労したことはありますか?
|
|
|
光吉: |
楽しかったんですけど、勝手が分からないので大変でした。しかもプロの松前さんとかじゃないですか。しごかれましたね。
|
|
|
原: |
体育会系のノリだったんですか? |
|
|
光吉: |
体育会系っていうか、松前さんとしては当たり前のことなんでしょうけど、僕は僕で音作りに関して未熟だったんで……。「光吉君、もう少し中域上げて」とか言われて「はい!」って言いながら全然できないんですよ。 |
|
|
Hiro: |
ははは(笑)。 |
|
|
光吉: |
「中域、まだ上がってないよー!」「ヒェ〜!」みたいな感じで(笑)。 |
|
|
|
(一同爆笑) |
|
|
光吉: |
でもその時、斉藤(昌人)さんとか、「光ちゃん大丈夫だから」みたいな感じで言ってくださったりして。色々とお世話になりました。 |
|
|
原: |
Hiroさんと光吉さんが一緒に出たライブってあったんでしょうか? 例えば、関係者やファンクラブ向けに開催されたというプライベートライブの時はどうだったんでしょうか? |
|
|
大野: |
渋谷のTakeOff7の時のことかな。田辺(健彦)君が肺に穴があいて(※編注:肺気胸という病気)、熊ちゃん(熊丸久徳)が突然呼ばれた時。 |
|
|
光吉: |
師匠はその時、来てないですよね? |
|
|
Hiro: |
熊さん来た時、出たっけなぁ。あ、でも1日で覚えて来てて、さすがプロってすげぇと思った。あの時一緒にやったのかなぁ。 |
|
|
光吉: |
やりましたっけ? |
|
|
Hiro: |
記憶にないなぁ。調べて連絡します(笑)。 |
|
|
|
(一同笑) |
|
|
|
※調査の結果、Hiro師匠はゲストとして1曲だけ出演していました。この時、他にもゲストとしてファンキーK.H(林克洋)が参加し、R三郎丸(光吉猛修)と二人でダンサーを担当して、Hiro師匠と共演していました。 |
|
|
|