改造計画その1−−−前輪リム18インチ化:page 2


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ハブ1ハブ2スポークセット
(スポークとニップル)

・問題のスポーク

 リムを買ってしまったのでとりあえずハブやその他もろもろのパーツを注文する。スポークだけは、何分走行中に前輪だけ分離されても困るので社外品を探してみる事にする。用品店でカタログをしらみつぶし。が、やはり無い。250モトクロッサータイプの車種はフロント17〜19インチ用スポークが勢揃いしているのに、トレールタイプはヤマハセローを除いて全然無い。ジェベ公の兄貴分であるジェベル250(XC)はモトクロッサー(エンデューロかな?)タイプのDR250と同じ車体である(装備が違う)ためジェベル250はいきなりインチダウンが可能なのである。そんなことする奴はいないだろうが。

 自分で探して無いときの最後の手段、用品店で探してもらったが結果は双方「ありません」とのこと。ちっくしょうぅぅ!!、マイナーバイクには世間は厳しいなぁ。とほほ。

 しかたないので純正スポークを注文。届くまでの間にホームセンターへ行き、ネジ切りダイスが売られているかどうかチェックする。これがまた売っているのだ。一般的なJISネジ径が揃っている上、準規格径まで取り寄せ出来るようである。全く便利な世の中である。

 加工方法としては、スポーク端部のネジ部をダイスに突っ込みそのまま回し続けてネジ部終端を延長しようと言うことを考えていた。これならばネジ切りで難しいネジの切り始めが簡単になる。よしよし、これならいける……と思っていた。

 注文から2週間後、スポークを取りに行く。気になるお値段はというと、なんと¥2,500-。安い!!! さすが純正!!! 社外品のスポークセットが¥15,000-であることと比べると1/6の値段である。さすがメーカー、生産力が違う。ウキウキ気分で家に戻り、とりあえずナットに突っ込んでみる。M4のナットが入る。やったー、これでダイスを買えば加工が出来る!! とか思いながらナットを回しつづけていると、ネジ部終端で止まるはずのナットがそのまま通過してしまった。あれ? そんなはずは……。スポークをしげしげと見つめる。よく見るとネジを切ってある部分よりそうでない部分のほうが細い。



転造ネジ

……転造ネジだ……。

がびーん!!! 転造ネジだとぉぉぉぉぉっっっ!!! ……マズい……ネジ切りダイスって言うものは切削ネジを作るものであって転造ねじを作るものではない。切削ネジとは棒材を削ってネジを作るもので、転造ネジとは棒材を特殊な型(転造ダイス?)に押し付けて転がすことによりネジの谷を作り、余った分がネジの山を作るというものである。つまり切削ネジは棒材の外径がネジの山の径となるのに対して転造ネジは棒材外径よりネジの山の径は大きくなるのである。と言う事は必然的に同じ棒材を双方の加工をした場合、転造ネジより切削ネジが小径となる。したがって切削ネジを切ったら純正ニップルは使えない、ということになる。やられた……。

 ちなみに私は機械工学科卒であり、ネジと言うものは一般的に転造で作られていることは知っていた。だが、初めに「ネジを切れ」と言われたので、ネジは切れるものと思い込んでしまっていたのである。んー、勘違いとか思いこみは怖いなぁ……。そーゆーことで結構痛い目見ているはずなのに自分がやってりゃ世話ねーわな。

 で、話は戻す。実はそれでもかかりが不充分(ネジの山が欠けている状態)で良いならまだ使えないことはなかったのだが……、とどめは実はネジ外径3.5だったことでほのかな希望も打ち砕かれる事になる。それはどういうことかと言えば、M4のナットに入ると言う事はネジのピッチはM4と同じ0.7である。しかし外径が3.5ということはM3.5なのか? となるがM3.5のピッチは0.6なのである。つまりこのネジはJIS規格ではないと言う事になる。はっはっは。

 よって現段階ではスポーク加工が不可能になった。うーん、かなり挫折続きで嫌になりそうである。1ヶ月ほどブルーになる。しかしあきらめるにも結構な金銭的時間的投資を行っているわけで、やめるわけにもいかない。気を取りなおして打開策を検討する。社外品が無い、純正が使えない、と言うことは他の車種のパーツ流用しかない。で、考えらた対応策は3点、

1.他車種のスポークセットを使う。

2.純正スポークは加工使用して、ニップルだけ他車種のものを使う。

3.ジェベル純正後輪スポークを無理やり使う。

である。

 1.に関しては、改造の基本手段なわけだが問題となるのはスポークの頭の角度と長さである。スポークを使用するバイクは数多くあるが、ジェベルと同様の小型ハブを使用しているのは主にオフロードバイクである。つまり21インチのスポークなわけだ。頼みの綱であるスズキボルティー(スズキのビンテージ系バイク。いろいろパーツ流用を画策している)も明らかにスポークは合わない。

 2.に関しては、今回の加工不可能の原因が新たなネジ径が小さくなる事が問題なわけで、一回り小さなニップルを用意すれば解決するわけである。しかし強度減少方向にあり、しかもコネが無いのでどの車種のものが合うのか調べようが無い。これはちょっといただけない。

 3.に関しては、最後の手段と思っている。まずスポークの頭の寸法が全く異なる。それを無理やり曲げてフィットさせるということである。強度的に問題が出るかもしれないので、さすがにこれはやりたくない。

 ということで、最良の方法は無いと言うことになる。で、苦悶の末、私の取った行動は、

「社外品のDR250用18インチスポークセットを購入する」

 と言うものである。上記の1.に近い形になるだろうか。しかし、かなりの冒険である。ハブ形状は似ているがスポーク寸法が同じとは限らない、と言うことは使えない可能性が大。それが¥15,000-もするのだ。

 ……後で気がついた事なのだが、DR250かジェベル250のパーツリストを買って、ジェベル125/200と同じスポークを使っているかどうか調べれば良かったんだ。パーツリストはそんなに高いわけでもないし、共通部品があるかどうかも調べる事も出来るので、買っておいても損はしなかったのに……。まぁいいや。



リム穴拡大作業

・恐怖の18インチスポークセット

 一週間後、18インチスポークセットが届く。¥15,000-でも見た目は純正スポークが短くなっただけである(当たり前だが)。さて、スポークの頭の形状を見る限りでは、かなりジェベ公のものと似ている。が、スポーク直径が3.5もある。で、ネジ部外径はそれより大きく3.7。ガーン!! ジェベル125とはスポークが違う〜〜〜〜〜〜!!!!!! くそー、¥15,000-が一瞬にして無駄金になってしまったか〜、と思いながらとりあえずハブに入れてみることにした。別に入るとは思っていない、なんとなくである。すると・・・・・・、

・・・・・・入った・・・・・・。

 信じられないがなぜか入るのである。ほんのちょっとだけ太いだけじゃないかとおっしゃる方もおられるかもしれないが、スポークの頭の角度が挿入時に邪魔をするためちょっとでも太ければ挿入にかなり影響を及ぼすのである。それが入るとは・・・・・・。まさに、一筋の光明がスポットライトのように私を照らした瞬間であった。

「いけるっ!!!! 今、俺には幸運の女神が微笑んでいるっ!!!! いけ、いけ、いてまえ〜〜〜〜〜ぇ!!!!」

 と、わけのわからない高揚感が私を支配した。早速組み上げようとする。が・・・・・・、

ニップルがリムに入んない。

 暗転。

 どうやら幸運の女神は一瞬微笑んでグッバイしてしまったようだ。とてつもない絶望感に打ちひしがれる。やってられっけ〜〜〜〜、とスポークを全部叩き折って捨てたくなったが、何分高かったので丁寧に袋に戻し工具箱にしまった。とりあえずこの日はフテ寝することにした。翌日、気を取り直して対応策を考える。考えられた対策は3点、

1.せっかくだけど18インチスポークセットの流用はあきらめるぜ。

2.せっかくだから18インチスポークセットは使い、ニップルを削ってリム穴に入れるぜ。

3.せっかくだから18インチスポークセットは使い、リム穴を削ってニップルを入れるぜ。

と、まぁ実質的に2択になるのだが(なら書くな)、結局のところ3.のリム穴加工を選ぶことにする。この場合、リムかニップルのどちらかに加工しなければならない。リム加工にした理由は、ニップルを削ると強度減少方向になるし、だいたい36個もあるニップルをいちいちきれいに削ってられない。じゃあ、リム穴を広げたら強度は減らないのか。うむ、おそらく減らない。リム穴を見る限り、穴径はニップルの大きさに合わせて何らかの方法で調節しているように見えるのだ。なぜそんなことわかるんだ、とおっしゃる方の為にその根拠を述べておこう。

 「カン」です。

 まぁそれはともかくその推測が正しければ、もしリム加工に失敗しても再度リムを注文するときにリム穴径を指定することができるはずである。どうせ特注なんだからやってくれるだろう。その場合、新しいリムはなんの加工もしなくても組み立てることが可能になるわけだ。この考え方こそ「転んでもタダでは起きない」ならぬ「転ぶ前から転んだときに掴み取るものを考えておく」の精神である。俗に言う「保険をかける」みたいなもんだね。私の場合はその根拠が単なる「カン」というところに非常に問題があるのだが。

 ということで、ホームセンターへ行きφ7.5のチタンコーティングのドリル刃を購入した。1本¥1,800-もするのだが、私の持っているショボいドリルで穴をあけるとなると少しでも良い刃を選んだ方が良い。家に戻り早速加工を始めることにする。切削油は4ストエンジンオイルで代用。加工方法はリムを立てて外側から内側に向かってリム穴に沿うようにしてドリルを突っ込む。これでリム穴を広げることが出来る。実際に加工してみると、やはり簡単にドリル刃が噛み、それをねじ伏せるだけのパワーがやはりドリル本体に無いため、かなり困難を極めそうであった。しかしまぁ、時間さえかければ開かないことは無かったので作業は続行。しかし、人間とは素晴らしきかな、だんだん慣れてきてスムーズに加工できるようになり、結局36穴を2時間で広げ終わってしまった。かなり適当に加工したので結構ズレていたりするが、スポークの構造を考えると1〜2mmのズレは誤差の範囲であろう。そう誤差誤差。



ジェベル18インチホイール

 油分を拭き取ってホイールとして組んでみた。おおっ!! ちゃんと組める!! ちなみに組み方は適当にやったら勝手にできたので、どこがポイントになるのか良くわかっていない。ここまで来るのにどれだけの苦労を重ねたことか・・・・・・。これでやっと当初問題となっていた芯出し作業が出来るようになる。さて、早速シャフトに通してと・・・・・・あ、まだハブにベアリング入れてなかったか。・・・・・・って、あれ? ベアリングってどうやって入れるんだ? ・・・・・・


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