改造計画その1−−−前輪リム18インチ化:page 3


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なんかの継ぎ手
(叩きすぎ…)


ベアリング挿入完了


これがスペーサ

・ベアリングを入れる

 時はさかのぼることハブやスポークセットの注文時、実はベアリングを圧入する特殊工具「ベアリングインストーラセット」及びはずす特殊工具「ホイールベアリングリムーバ」を同時に注文している。サービスマニュアルに書いてあるので買わなきゃならんだろうと思って注文したのだが、後日取りに行ったときにバイク屋の兄ちゃんに「ベアリングインストーラは出荷停止になってるよ」と言われた。なんじゃそりゃー!!! サービスマニュアルにおもっきし書いとるやんけー!!! とツッコミたくなったが、バイク屋の兄ちゃんの話によると「真っ直ぐ入れへん」らしい。おいおい。まぁ代わりに外周を叩く方法を教えてくれたけど。ベアリングリムーバはちゃんと届いていたのだが、こいつはこいつでたいそうな名前がついているわりにえらく原始的な原理で驚いた。

 さて、ベアリングの圧入方法を検討してみる。外周を少しずつ叩いて均等に入れるのは結構至難の技だ。均等に入れないとベアリングが傾いてしまう。それに少々奥まで叩きこまなければならないため、何かをあてがって叩かなければならない(ハンマー直打ちでは出来ないということ)。タッチバイク等の本によると「ソケットレンチのソケットをあてがう」と書いてある。これだと中央を叩けるので外周を均等に力を加えて傾きにくい。なるほど、こりゃいいや、とは思ったのだが、私はソケットレンチというそんな超高級な工具など持っちゃいねぇ。はっはっは、どうだ参ったか、この(ピー)め!!! と心の中で罵ってあとで空しくなった。

 圧入のためだけにソケットを買うのも馬鹿馬鹿しい話なので、ホームセンターで代用品を探すことにした。いい具合のなんかの継ぎ手が260円であったのでそれを購入。しかし後で考えたら、これ両口とも開いているので中央を叩けないんだな、ダメだこりゃ。でもまた代用品を探しに行くのもめんどくさいので、これをあてがい叩くことにする。

 さて、ベアリングの圧入を敢行する。サービスマニュアルを一読し、作業をイメージ化する。まずレフト側(ブレーキディスク側)のシールベアリングから叩きこむ。叩き方は継ぎ手をあてがい上下左右4点の対角打ち。コンコンコンコン・・・あ、傾いた。変に入ってしまうと取れなくなる。そのまま叩いて修正してもいいがベアリングが変形しても困るので、ベアリングリムーバで一度取る。頼んでて良かった〜。レフト側を入れ終わり、続いてライト側も入れた。しかし、何か重大なことを忘れているような気がする。サービスマニュアルを読み返す。するとライト側ベアリングに隙間を設けると言う意味のことが書いてあった。? 隙間を作る余地なんか無かったぞ? と思いながらよく読み返す。すると重大なミスに気がついた。

スペーサ入れ忘れた・・・。

 ごふっ!!!(吐血) 左右ベアリング間に挟み、いっしょにアクスルシャフト(車輪軸のこと)を通すスペーサがあるのだが、それのことを忘れていたのだった。サービスマニュアルのベアリングを入れる項目にスペーサに関する注記が無かったので失念してしまっていたのだった・・・。つーか書いててくれよー、ったくよー。

 とりあえずスペーサ入れは後日行うことにして芯出し作業に入ることにする。



芯出し作業-1
(汚ねー部屋・・・)

芯出し作業-2

ニップルは−ドライバーで

・待ちに待った芯出し作業

 芯出し作業は、会社からの帰宅後からでもじっくり行えるように自宅の寝床兼デスクに作業場を設置した。といっても万力とアクスルシャフトと定規を用意しただけなのだが。この作業は調整するところが36箇所もあるので、とにかくバランスを取るのが難しいらしい。トルクも重要らしい。しかし何事もやってみないことにはわからない。じっくりと1ヶ月ぐらい費やす覚悟でとりあえず作業を始めた。

 方法は簡単、「適当な位置に定規を置きホイールを回してフレ(ブレのこと)ているところを割り出す」→「フレている反対側のニップルを調節する」を延々繰返すだけである。スポークは4本1組になっていて、それぞれ角度が違うのでフレの方向によって締めたり緩めたりしてフレを無くしていくのである。注意したいのは、リムの溶接部分は寸法が狂っているのでそこは考慮しないということである。

 とりあえず、作業をしてみる。くるくるきゅっきゅっくるくるきゅっきゅっ・・・どうやら作業方法としては間違っていないようである。くるくるきゅっきゅっくるくるきゅっきゅっ・・・あれ、

できてもーた・・・

 は? あれ? なんで? 出来てもーたで・・・マジかいや。こんな簡単でええんか? 異様に不安になる。次の日、ニップルのトルク増しの再調整をやっただけである。不安だ・・・最も重要な作業と言われているのがこうも簡単に終わってしまうとは・・・。でもこれ以上のことはできないしなぁ・・・。

 しかし、本来ならば軸方向の位置も測定して合わせなければならないのだが、純正ジェベルホイール設定値を計測するのが面倒で測っていないので合わせようが無いのだ。なに? それぐらい測れって? それが出来たら苦労せーへんっちゅーに。測ろうとしたらジェベ公から前輪外してタイヤも外さなければならない。そんなことをすればジェベ公が不動になる。それに一度外したタイヤがもう一度つくとは限らないだろうし・・・。ということで、軸方向の調整はやらないこといする。それで問題は無いのだろうか? そりゃあるにはあるだろうが、あまり重要でない。車体のシンメトリー(対称性)が狂うが所詮タイヤはタイヤ、数ミリ接地面がズレたところで影響は無いだろう。ブレーキディスクはパッドの間にさえ来ていればピストンが勝手に修正してくれる。

 ということでこの作業は終了とする。ええんかな、ホンマに・・・。

 後日、バイク屋の兄ちゃんに聞いてみたら「んー? ニップルを均等に締めたら結構ええとこに来るで。それにサービスマニュアルに書いてあるけど、メーカーも2mmぐらいのフレはOK言うてるしね」と言う答えが帰ってきた。え? そうなん? そんなもんなん? ・・・まぁそんなものであると思って作業を妥協したのだが・・・。家に帰ってサービスマニュアルを見てみると、ホイールのフレの限度は3mmと書いてあった。3mm!? 3mmってたいがいやぞ!!! まぁええか・・・別に問題があるわけじゃないし・・・。



TT100GP 3.00-18

・タイヤの選択

 ホイールが完成したので次はタイヤを組む作業に入るのだが、ここでタイヤの選択方法を書いておこう。結論から言えば、ダンロップのTT100GP:3.00-18に決定している。ではなぜこのタイヤになったのか。

 タイヤ選択は、もちろんホイール径を合わせるのは絶対条件だが、主にタイヤの持つ2項目の数値が重要となる。タイヤ幅、許容リム幅である。タイヤ幅は前輪ならフロントフォークに、後輪ならチェーンに干渉しやすいのでかなり重要な値となる。タイヤのワイド化は図る場合はまずこれをクリアできることを確認しなければならない。もう1つの許容リム幅は文字通りリムに入るかどうかなのでクリアしなければタイヤが入らない。いや、無理をすれば入るのだろうが、サイドウォール部(タイヤの横壁:そのまんまやん)に影響が出ると思われる。タイヤはへこんだりねじれたりするのにサイドウォール部が重要な働きをするので無視するのは危険である。この2点の他にタイヤ外径の変化によりディメンジョンの変更(前述)とフェンダーへの干渉が考えられるが、これは他で対応が可能なことが多い。それと後、チューブタイプタイヤかチューブレスタイヤかと言う問題もあるがそれは後述する。

 実際の選択方法だが、まずフロントフォーク間最短部を測る−−−106.5mm。・・・せまい・・・。クリアランスは片側5mmは欲しいので95mmぐらいがタイヤ幅の限界である。だが前輪は特にねじれるので余裕を見て90mmをボーダーラインとした。

 で、タイヤの銘柄の選択に入るわけだが、冒頭にも書いたが、現在のロードスポーツタイヤは幅広でジェベ公のフロントフォーク間には厳しいためビンテージタイヤが適当である。それに適応するのが3.00-18、90/90-18のタイヤで、その2つは旧車、ビンテージで良く使われるサイズである。選びたい放題・・・とは言わないが銘柄は多い。しかしそれらOEMタイヤ(車両に標準装備されるタイヤ)のデータはその車種のサービスマニュアルでさえも公開していない。許容リム幅は、このサイズならまず間違い無くリム幅1.85に適応する。しかしタイヤ幅は、タイヤサイズからおおよそ予想はつく(3.00は3インチ、90/90は90mm)が、たまにかけ離れたタイヤ幅になるときがある。つまり実物を実測しないとわからない。それはめんどくさい。タイヤメーカーは自社ブランドでリプレイスタイヤを販売しているが、タイヤデータを載せているのが私が調べた限りダンロップとミシュランの2社だけであった。となると、その2社のタイヤから選んで安全に行くか、実物を探し出して計測するかの2択になる。

 しかしまぁ、自分の履きたいタイヤを選ぶのが当然で、私が履きたいと思ったタイヤは前述のダンロップのTT100GPしかなかった。オフロードっぽいパターンでダートトラッカーマシンに装着されるのでこれしかないと思っていた。ただ話によると脅威のスピードで減っていくらしいが・・・まぁいいや。タイヤデータは既にHP上のカタログに掲載してあった。TT100GPは3.00-18、90/90-18と両方あったが、タイヤ幅がそれぞれ89、94だったので、90/90-18はちょっとオーバーしていたので3.00-18を選んだ。ということでこのタイヤに決定。

 しかし、まだ問題があった。このタイヤはチューブレスタイヤなのである。ええっ!? 旧車やビンテージがチューブレスなわけあるかぁ!!! とか思いつつもやっぱり気になる。ということでインターネットで調べてみる。だが、「場合によっては可能」としかわからなかった。うーん・・・多分入ると思うんだけど、ホントに入るんかなぁ・・・。

 で、後日用品店に行ったときにそのタイヤがあったので手にとって見てみる。おおぉ〜、やっぱこれやでぇ〜、とか思いながら眺めていると貼ってあったラベルに目がいった。

「チューブタイヤにはチューブが必要です」

ゴフッ・・・!!!(吐血)

 なんだとう!!! 今まで調べてたのはなんだったんだぁ!!! バーロー金返せぇ!!!(?) ・・・ともかくこのタイヤで行くことにする。

 ところで後日このタイヤを購入したのだが、ジェベ公不調のためVTR250で行ったのだが購入後にふと気づいた。VTRにタイヤなんか積まれへん・・・。5分ほど流れる雲を眺める。しかし、なんとか持って帰った。夏らしく。



チューブ

タイヤフラップ

タイヤフラップ装着

タイヤレバーで叩きこむ

傷だらけリム

・タイヤを組む

 さてタイヤを組む段階まできたのだが、ここであと必要となるのはチューブとタイヤレバー2〜3本とポンプである。タイヤレバー1本と手ポンプはあるので、チューブとタイヤレバー追加分を購入すればいいはずだ、と思っていたがパーツカタログを見てみるとリムとチューブの間になんかヘンなものがあることに気づいた。つーかなんで今まで気がつかなかったのか不思議だ・・・。そのものとは「プロテクタ,ホイールインナチューブ」という部品である。なんじゃこりゃ、とインターネットで調べてみたがわからず。代わりにガムテープを巻いている。このガムテープ巻きは私の所有するメンテ本にも書いてあった。なにやらニップルのゆるみ止めとチューブの保護らしい。じゃあこの「プロテクタ〜」はなんなん? 誰か教えてくれ!!! ということでバイク屋の兄ちゃんに聞いてみた。

バイク屋の兄ちゃん「んー、ウチもガムテープ巻いてんで。パンク修理のときチューブを剥がしたら、ベリベリ〜っていっしょについてくるからかわりにガムテープ巻いてる」

 ガムテープを巻いてる理由は本と同じ。

私「じゃあガムテープのほうがいいんスかねぇ」
兄ちゃん「んー。わからへん」

 結局「プロテクタ〜」については良くわからなかった。ガムテープ巻きは実績があることがわかったが、なんとなくガムテープに抵抗があったのでとりあえずその場で「プロテクタ〜」を注文した。

 気を取りなおして用品店へ。ハードチューブが欲しかったのでバイク屋では頼まなかった。タイヤレバーを確保し、チューブが売ってある棚の前に行く。残念ながらハードチューブは無かったが、普通のチューブがあったのであきらめてそれにした。2.75-18〜3.60-18(幅広い・・・)まで対応しているチューブを購入することに決定。ふと棚の上に目がいった。すると「タイヤフラップ」なるゴムの帯が置いてあった。・・・これとちゃうんか? 「プロテクタ〜」って・・・。しかしパーツカタログから受ける印象よりかなり薄い。わからないが¥120-だしとりあえず購入する。

 早速家に帰ってタイヤフラップを開封する。ビロ〜ン。単なるゴムの帯だが、どうやらバルブを通すと思われる穴が開いている。・・・ますますこれやろ・・・。バイク屋の兄ちゃんに電話してみる。

私「プロテクタ〜ってタイヤフラップのことじゃないんスか?」
兄ちゃん「さーねー。わからへん」

 あっそ。・・・まぁ同じ物かどうか確認してから装着しよう、ということにして作業は保留。

 しかし、注文したプロテクタ〜の到着が遅れていた。何とももどかしい状態が続いた。で、なにを思ったかいきなり見切り発車でタイヤ装着を敢行してしまった。私は精神力弱いので仕方が無い(そうか?)。

 タイヤフラップをリムにはめ、タイヤを片側だけ入れる。そしてチューブに少しだけ空気を入れ(作業しやすい)はめこみ、タイヤのもう片側をタイヤレバーで叩きこむ(正しい表現ではないが、そんな感じ)のである。タイヤを入れやすくするビードワックスなる薬品があるが、人によっては不評だし室内(ベッドの上)で作業してるので使用せず。

 しかし作業は困難を極めた。かなり以前に購入したタイヤレバーが行方不明(てめーがなくしただけだ)のため1本で作業したら、途中までは良かったが残り4分の1が入らない。力任せに叩きこんだら、タイヤはメリメリと裂けるしリムは塗装が剥げてボロボロに・・・。おいおい、リムプロテクターを使えって? それを知ったのは後のことである。はっはっは。走る以前からボロボロのホイール・・・。

 何はともあれ、タイヤ装着は完了。あとはリムラインを均等に出すだけである。空気をいっぱいに入れてリムラインを出し、あとは適正な空気圧まで落とす、これで出来るはずである。ところがきれいに出ない。何度やりなおしても1箇所が噛んでいる。さすがに手ポンプじゃ限界があるか、と今度は足ポンプを買ってくる。400kPaまで入れてみたが、良くはなるが解決しなかった。これも何度かやりなおしたがダメだった。仕方ないのでこのままでホイール交換作業に入ることにする。



00/09/04更新分

もとの21インチホイール

前輪持ち上げ不安定

・待望の18インチホイール装着

 2000年7月某日、ついに18インチホイールを組む日がやってきた。その日は親の仇のような快晴、夜行性で暑がりの私には外に出るのも嫌気がさす日であった。とは言え、今日は力強い助っ人、友人リラ君をカメラマンとして呼び寄せているので今日やらないわけにはいかない。だるーぅ。

 まずは彼の愛車であるニセスカイライン号で買い物に行き(買い物自体は18インチホイールとは関係無い・・・バイク部品にはかわりないが))、十分にドライブを楽しみながら日がかげるのを待つ。そして午後4時、気温は下がらないが日光が鈍くなってきたので作業開始。あまり遅くに始めても問題があったときに不利になるしね。

 装着にとりかかる前にディメンジョンの変化(フロントがどれだけ下がるのか)を後で検証するため、今付いている21インチのホイールで乗車時の写真を撮ってもらう。本来のリラ君の仕事は実はこれだけなのだが・・・かなりこきつかってるなぁ、まぁいいか。と言うことで装着にとりかかる。リラ君が所持するフロアジャッキなるものでジェベ公のフロントを持ち上げる。キコキコキコキコ・・・。専用の台の上に置き(このことを「うまにかける」と言うらしい)、ジャッキを抜くがどうも安定感が無い。リヤを持ち上げるのに比べると難しいようである。うーむ、バイク用のジャッキ買わなあかんかなぁ・・・あれ高いんだ。そんなこと今嘆いてもしかたないので、荷台にタイヤをかましておもりとする。少しは改善。

 フロントアクスル(前輪軸)を引き抜く。わらわらと部品が落ちる。が、今回はブレーキディスク以外の部品は全て置き換えだからどーでも良いのだ。とか思って旧ホイールからブレーキディスクを取ろうとしたら、取れなかった。およ? ボルトが固着してやがる・・・。当社比1.5倍のパワーを持つリラ君にも試してもらったが、ダメだった。ダメだった、というよりボルトをなめそうだったので止めたと言うほうが正しいか。うーむ、こんな落とし穴があったとは・・・。しかたないので18インチホイールをブレーキディスク無しで装着することにする。それでは後でブレーキディスクをつけるときにまたホイールを外す必要があるが、この日にリラ君に18インチホイールでの乗車時での写真を撮ってもらう必要があったので仕方なかった。それにホイール装着に問題があれば、先に問題点を洗い出せる。ということで装着、2人でやれば簡単であった。特に問題は無かった。ただ、フロントアクスルの割りピン用の穴が完全に出ていない。もともと純正でも割りピンは刺していないので問題は無いのだが、以前もこんな状態だったかな・・・覚えていない。少し不安が残る。



18インチホイール装着

比較

 とりあえず装着完了。見た目はかなり違った印象を受ける。うーむ、アンバランスだ・・・。カッコイイとかダサいという次元ではなく、奇妙である。こらぁリヤホイールもインチダウンせんとあかんな・・・まぁいい、どうせ実験だし。またがってみると見た目ほどライディングポジションは変わっていないようである。これならば実走試験を行っても問題無いだろう・・・今は走れないけど。

 18インチホイールの乗車時の写真を撮ってもらって装着作業は終了とする。



緩む方向にタガネを打ち込む

ディスクブレーキ装着

 写真撮影終了後、そそくさとニセスカイライン号で近くのバイク屋まで行く。ブレーキディスクを取ってもらうためだ。タイヤ付きホイールなんてバイクで(特にVTR250なんかで)持っていくなんて一苦労である。まったくもってリラ君を呼んでて助かった日であった。どーしていつものバイク屋じゃなくて近くのバイク屋なのかって? いつものバイク屋は車止めにくいんだわ。

 近くのバイク屋に到着。いきなりホイールだけを持ちこむことに気まずさを感じたが、バイク屋の兄ちゃんは快く応じてくれた。しかし、いかなプロと言えど固着したネジには厳しい戦いを強いられていた。あきらめてくれと言われたらどうしよう・・・と、傍で作業を見守る私はダウン気味になっていた。そうなったらドリルでネジを破壊して剥ぎ取るか・・・しかしディスクが取れてもホイールハブにネジのかけらが残ってしまう。めネジを切るタップで削り落とすか・・・。などといろいろと考えていると、おもむろに兄ちゃんはこちらを向いた。うわっ!!! な、なにを言うつもりだぁ!!! と、身構えたが、兄ちゃんは「ネジ、傷ついてもいい?」と聞いてきた。「え? はぁ、いいですよ」とよくわからないが答えておいた。何をするつもりだ? と作業を見守ってると兄ちゃんはタガネとハンマーを持ってきてガンガンとネジを叩き始めた。ええっ!!? なんじゃそりゃ!!! と思っているうちに兄ちゃんは六角レンチに持ち替えてあっさりとネジを緩めてしまった。

 これはどういうことかと言えば、ネジが緩む回転方向(反時計回り)に回るようネジ中心からずれた場所をタガネを打ち込むことにより、緩むトルクを発生させると言うものである(図参照)。とまぁ原理は説明できるが、こんなことでネジが緩むとはなかなか思えないのだが・・・。タガネは刃を立てるためある程度面から角度をつけて叩かなければならない。という事はネジを抑えつける力も発生するはずなのだが・・・インパクトによる効果が勝るのか。まぁいいや、結果は良かったんだから。

 と、まぁ、あっさりとネジを取られてしまった。バイク屋を出て空を見上げる。まだ明るい・・・今からならブレーキディスクをつけられる。しかしネジが傷ついているのが気になる。小物部品は全て新品に置きかえるつもりだったのに、なぜディスクのボルトを頼んでなかったんだろうか・・・ちょっと悔やまれる。まぁいい、腹も減ったし今日はやめやめ。ということでここで中断。いつものバイク屋にボルトだけ注文した。

 後日、ボルトを取りに行く。バイク屋の兄ちゃんに「スズキのブレーキディスクはなかなか取れへんよ。僕らも結構苦労してるよ」と言われた。まぁ確かに取れにくいほうが安全なんだけどね。でも半分消耗品のブレーキディスクが取れないのも問題だと思うが・・・まぁいいか、ふつープロ以外は外さないはずだから。

 家に帰り、ブレーキディスク装着作業を敢行。が、今度は一人で作業しなければならない。これが大変であった。フロントアクスルを抜くと例によって部品がわらわらと落ちる。ぎゃ〜!!! ゴミが付着するぅ〜!!! 各部品はモリブデングリスを塗りたっくっているのでゴミが簡単に付くのであった・・・。う、腕が4本欲しい・・・と思いつつなんとか作業完了。



完成-1

完成-2

 長かった・・・、ここまで来るのに1年半かかった・・・。なんでこんなに時間かかるんや、まったく。いやまぁ、私はサラリーマンだからそんなに時間に自由がきかないことが大きな理由だが。それにしても実際の作業時間なんてほんのわずかである。あとの大半の時間は調査。しゃーないやん、誰も教えてくれへんねんから。つーか誰がすんねん、こんなこと(ちょっとグチ)。

 さて、完成と言っても装着作業が終了しただけで、これからいろいろと調整していかなければならない。まずは実走試験をして制動試験。安全が確認されたら当分はタイヤの慣らし。ハードな走りはもう少し後になる。おっと、スピードメータの目盛りの刻みなおしもしなくては。とまぁまだまだやることはたくさんある。


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まだまだ続きます。現在鋭意制作中。

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