妖華−女神館の住人達外伝
 
 
 
 
 
F−3:私から行ってやるんだから
 
 
 
 
 
「あれが大聖堂よ」
 クレアの指した先には、歴史を刻んだ立派な建物がある。
「ふーん?」
 既に町中を歩いて来た二人だが、予想通り周囲の注目を一身に集めていた。
 真っ白に身を包んだシンジを、見せつけるようにして歩くクレアは、内心でとても誇らしげであった。
 受ける視線の羨望も嫉妬も、いずれも勲章のように思えたのだ。
「どうしたの?」
「あの系統の物は、完全な形では他に無かったんじゃない?」
「その通りよ。宗教改革って知ってる?」
「うん」
「あの時に、たくさんあった教会はそのほとんどが破壊されてしまったの。このグラスゴー大聖堂は、唯一完全な形で残ったものなのよ」
「ろくな物ではないな」
 シンジの言葉に、クレアの表情が動いた。
「気に入らない出来なの?」
 連れてきたのは失敗かと思ったのだ。
 ちがう、とシンジは首を振り、
「改革と言うのは、大抵がろくな物を残さない。折角子孫に残せる先達の知恵を、どうしてわざわざ破壊する」
「…そうね、その通りだわ。だけどシンジ」
「ん?」
「あれが沢山あったら、逆に誰も見向きもしないわ、そうでしょう?」
 面白い意見だ、と言う風にシンジは頷いたが、
「地震があった時、ほとんどが壊れても少しは残る。でも、一つしか無ければあっさり全滅だね…いでで」
「もう、可愛くないんだから」
「ちょっと待って」
「何?」
「今何歳だ?」
「私?19よ、19。あなたより大人でしょう」
「そうだねえ」
 頷いたシンジに満足したのか、
「さ、行きましょう」
 引っ張るように中へと入っていった。
 
 
 
 
 
「え?彼を?」
「そうさ、泊めてやっておくれ」
 ローザの急な申し出に、夫妻は顔を見合わせた。
「命の恩人だから構わないが…どうして急にあなたが?」
「クレアが、あのジャパニーズをすっかり気に入ったからだよ。それともう一つ」
 幾つになっても、父親にとって娘は娘である。
 僅かに眉が動いたボビーを見ながら、
「お前さん達の娘は、いい時に生まれたよ」
 奇妙な事を告げた。
「いい時?」
「人にして人に非ざる者、そして時が邂逅する時に生まれ、しかもそれを選べるなんて運は、願っても手に入るものじゃあないんだよ」
「『?』」
 二人とも、無論意味は分からない。
「あ、あのそれはどういう…」
 おそるおそる訊いたのはキャシー。
 この二人が、娘ほど馴れ馴れしくないのは、より知っているからだ。
 そう、このローザの事を。
 市長が病に倒れ死の淵まで行った時、ぶらりとそこを訪れたローザは、数分で出てきた。
 市長が全快したのは二日後の事である。
「治ったよ」
 既に牧師の準備をしようとしていた医師団に、ローザはそう告げた。
 その他にも、死の床にある者がその訪れを受けて、こっちの世界へ生還したいくつかの例を夫婦は知っていたのだ。
 ただどういう訳かその逆はなく、生命を与える者と秘かに呼ばれていたのである。
 それだけに、その言葉には妙に重みがあり、奇怪な言葉でも一笑に付す訳には行かなかった。
「あたしはあの子に、ある物を託した。一万人に一人、いや一億人に一人いるかいないか、あたしはそれを見つけた。託した物は人間が手に負える代物じゃあない」
「に、人間の?」
「そうさ。でもあたしは、人間のあの子にそれを渡す事にした。クレアはそれを見たいと言ったのさ」
「そ、そんな危険な事をっ!?」
「反対かい?」
 ローザは静かに訊いた。
「なに安心おし、クレアの身はあたしが守るさ」
「あ、あなたが…?」
「そう、あたしだよ。例え、どんな事態が起きてもね」
 ローザは断言したが、言葉の本当の意味は夫婦のいずれにも分からなかった。
 いや、例え知ったとしても…理解することは出来なかったろう。
 
 
 
 
 
「じゃあ、宝石の二つは持っていたって言うの?」
「予備としてね」
「変わってるのね、シンジは」
 そう言ってころころと笑ったクレアの顔が赤いのは、別に照れではない。
 大聖堂を見て回った後、近くのティールームにシンジは連れて行かれた。
「ここのミルクティーは格別なのよ」
 そう言いながらクレアが頼んだのは、カルーアミルクであった。
「顔赤いよ」
 何を思ったか三杯飲んだクレアは、みるみるその顔を赤くしており、シンジの無銭宿泊劇を聞いて、大ウケしていた所だ。
「そんなことないわあ」
 語尾が妙に伸びているクレアを見ながら、シンジの意識はもう夜へと飛んでいた。
(さて何が出てくるか…)
 ローザは、守護者に近い者だとシンジは踏んでいた。
 情報を仕入れた訳ではないが、シンジの直感がそう告げていたのだ。
 つまり、ローザはずっと何かを守って来たのだ、と。
 実際店の中にあった品物はどれも、大した値段は付いていなかったが、その道の連中が見れば目の色を変えるような物ばかりであり、金を出しても買えるようなレベルの物ではなかったのだ。
 妙にご機嫌なクレアだが、シンジもある意味ではご機嫌であった。
 そう、未知との遭遇に想いを馳せていたシンジは。
 
 
 
 
 
「何?生きたチキンを売って欲しい?」
「ええ、お願いします」
 作業服姿の親父が、二人をじろりと見たのも無理はなかったろう。
 本来ここは業者が、或いは農家から買いに来る所であり、目一杯おしゃれしたクレアと、普段着ながら純白のシンジではあまりにも不似合いなのだ。
「何に使うんだい?」
「チキンヘッド」
「…何?」
「あ、いや冗談です」
 が、理由など考えて来なかった。
 それもその筈で、ローザはここの主人が頑固者だなどと言っていなかったのだ。
(まったくもう…)
 どうしようかと内心で首を捻った時、鶏糞の匂いで酔いが醒めたらしいクレアが、そっと近寄ると耳元に口を寄せて、何やら囁いた。
「何…そうか、それならいいだろう」
 何を吹き込んだのかは不明だが、頑固そうな親父はあっさりと方針を転換した。
「それで?」
 クライド川の川岸を歩きながら訊いたシンジに、
「何のこと?」
 クレアは逆に聞き返した。
「さっきの旦那に、何を吹き込んだの?」
「吹き込んだなんてそんな、人聞きが悪いわ。ただちょっとその…」
「ん〜?」
 のぞき込んだシンジから、すっと視線を逸らしたクレアを見て、大体シンジは予想が付いた。
「ボーイフレンドが出来たの」
 いきなり言い出したシンジに、クレアが目を見張った。
「…え?」
「パパとママも祝福してくれて、今日はパーティにするから鳥を飼って来るようにって言われたの。だからお願い。違う?」
「どうして…分かったの…その通りよ…あっ」
 脇腹をつつかれて、クレアの身体がびくっと震えた。
「大体想像は付いたぞ。それに、あの親父さんが冷やかすように何か言っていた。あれでほぼ見当は付いたよ」
「あの…」
「何?」
「な、仲良くやれよって…」
 赤くなったクレアを見て、どこも人のいい親父はいるものだと、シンジは妙な事に感心していた。
 なお、両手にチキンをぶら下げているせいで、もう手は繋いでいない。
「ところでクレア」
 こっちの世界に呼び戻すようにシンジが呼んだ。
「な、何?」
「本当に、いいのか」
 シンジの表情に、クレアも真顔になった。
「どうして…そんな事言うの?」
「俺が普通じゃないからだ。大体、マジシャンでもないのに手から炎を出すなんて、普通じゃない。分からなければ、見るがいい」
 右手の鶏をクレアに持たせると、シンジはその手を水面に向けた。
「……」
 小声でシンジが呟くのと同時に、川の水が逆立ち始めた。
「!?」
 愕然と見つめるクレアの前で、それはある種の形状を為した。
 すなわち槍のそれを。
 文字通りの槍となって次々と水面に立っていく様を、呆然としてクレアは見ている。
 どさり、と言う音がした。
 クレアの手から、鶏が落ちたのだ。
「こんな…神よ…」
「ホリールード宮殿には、こんな槍を持った衛兵がいたか」
 シンジの声と同時に、また元の水へと戻る。
 なお、ホリールード宮殿とはエディンバラにあり、かつてスコットランド女王メアリが育った宮殿にして、現在は英国王室の離宮の一つとなっている。
「あ、あなたは…人間なの…」
「人間さ」
 シンジの答えは単純明快であった。
「ただし、普通じゃないと言った筈だよ。そして、君が思っているようなマジシャンの類でもない。これ自体が力だからな」
「ど、どうして…私に見せたの…」
「嫌でも、見ることになるからだ」
「?」
「今宵の相手は、おそらくそう言う相手だ。タロットカードで好きな人を占うのとは訳が違う。さっき君は、俺も駄目なときだと言ったが、或いは君だけが命を落とす可能性もある。引き返すなら今の内だ」
「……ひどい…」
 クレアの手がぶるぶると震え出すのを、シンジは黙って見ていた。
「あなたなんか嫌いっ」
 たっと走り出すのを見送ってから、シンジは鶏を拾い上げた。
「それでいい」
 静かに呟いてから、荷物を駅に置いてきて正解だと、ぼんやり考えていた。
 
 
 
 
「おや?」
 走り込んでくるクレアを見ながら、ローザは首を傾げた。
 シンジが危険な目に遭い、助けを呼びに来た風情では無かったのだ。
 もっともローザの目が節穴になっていなければ、シンジが危険な目に、それもクレアを逃がさなければならぬような目には、決して遭うまい。
 それに何よりも。
「何を泣いていたんだい?」
 泣きながら走ってきたそれを、ローザの目は見逃さなかった。
 そしてそれが、嬉しさとは対極にあることもまた。
 
 
 
 
 
 白ずくめがチキンをぶら下げて歩いていた。
 後数時間後には、首と胴がさよならを告げて、その鮮血が大地に吸い込まれる代物である。
 ただし、現在はまだ生きている。
 失神と言う状態であり、危険人物の手にあっても逃げる事も、鳴くこともできない。
 袋に入っているとは言え、それを両手に提げているのはやや奇妙な格好なのだが、シンジはこのままで町中をぶらぶらしてきた。
 ウェルダンに燃えた家――無論シンジの手に依る物、も見てきたし、ケルヴィングローブ公園にも寄ってきた。
 博物館も見たかったが、こんな物を持ってはさすがに入れないと、周囲をうろうろするだけで断念したのだ。
 と、その足が止まる。
「六人、か」
 ぽつりと呟いたシンジの感覚は、さっきから付けられているのを感じ取っていた。
 無論プロのそれではなく、単に見え隠れしているだけに過ぎない。
 シンジとて警察や探偵のそれではないが、大地が囁き風が目配せするシンジに取っては、あまりにも見え見えであった。
 町中と言う事もあるのかもしれないが、かれこれ十五分くらいは付いてきている。
 なかなか人付き合いはいいらしい。
 普段のシンジなら、風に身を任せて飛翔したかもしれない。
 あるいはさっさと撒いたか。
 だが、今のシンジの脳裏にはある表情が浮かんでいた。
 すなわち、両目に涙を溜めて走り出したクレアの表情が。哀しげなそれがふっと揺れた時、シンジの足が止まった。
 ふと周囲を見ると、裏道に近い所に入ったばかりである。
「ちょうどいい」
 ふ、とシンジの口元に笑みが浮かぶ。
 屋敷の者なら誰でも、顔色を変えるであろう危険な笑みが。
 すっと足元に二つの袋を置いた時、追跡者達が現れた。
 そんなに変わった風体ではない。
 そう、少なくとも、新宿で代紋を背負った連中を見てきたシンジに取っては。
 だがどことなく共通しているのは、その目の光であった。
 すなわち、ろくでもない事の証のそれが。
 血を見てきた者のそれではないが、人を傷つけるのを楽しみとしている連中のそれである。
 肩がぶつかった、或いは目が合ったと言っては袋叩きにする。
「将来は変わらないじゃないか」
 とシンジが呟いた。
 確かにその通りかも知れない。
 大人になったある日、いきなり悪魔にドラフト二位で指名されて極悪非道になるわけではないのだ。
「やあ、黄色いお猿さん」
 いきなり大上段からかましてきた。
「黄色じゃない、白だ。何よりも、イングランドに敷かれた腰抜けに言われたくはないな」
 数百年以上にわたって交戦状態にあり、いまなお独立運動が盛んなこのスコットランドでは、迂闊な事は口にしてはならないとされている。
 そのお膝元とも言えるここでの言葉は、屈辱以外の何者でも無かったろう。
 彼らの手に、一斉にナイフが飛び出すのをシンジは黙然と見ていた。
 お約束、とでも言うように。
「ネッシーの餌にしてやるよ」
 顔にペイントした奴が言った。
「その前に」
 髪を無造作に束ねた奴が口を挟んだ。
「こんなでかいんじゃ食いにくい。俺達でばらしてやるよ」
 げたげたと笑いながら迫ってくるそれには、どこか危険な色がある。
 なぜか、殺戮のそれとはやや違うそれが。
 彼我の間が五メートル程になった時、連中はすっと円を描くように散開した。
 少しは修羅場をくぐって来たのか、と思われたが、
「一番手は俺だ。熱いのをぶち込んでやるよ」
 そうではなかったらしい。
 しかもぶち込んでやる、と言ったそいつの股間は既にテントを張っている。
 シンジの容姿を見て欲情したのか、或いは単なるホモの集団なのか。
「お前達に訊きたい事がある」
 ナイフも股間も、まるで目に入らないようにシンジが言った。
「なんだい?かわい子ちゃん(スイートハニー)」
 声にも既に欲情が滲んでいる。
「北欧神話に出てくるラグナロク、神々の黄昏を知っているか?」
「何?」
 気がそがれたのか、一瞬真顔に戻った。
「その時に、最後に生き残ったとされるのは誰だ?いやそれよりも、この地に誰が封じられた?そして誰がそれを為した?」
 訊ねる、と言うよりも天啓を拝受するが如き表情に、何を喚起されたのか連中は一斉に飛びかかった。
 前後左右を囲むようにして、一斉に刃が突き出される。
 狭い路地に押しつぶしたような悲鳴が上がり、そしてすぐに静かになった。
 
 
 
 
 
「うちはチキン料理はいらないよ」
 差し出されたそれを見て、ローザの眉が寄った。
 なにせ、いつ我に返った物か、二羽ともシンジの手のひらでピンピンしているのだ。
 放っておいたら、間違いなく勝手に刻を告げるに違いない。
 そんな事より、これを食べるには自分で首を捻らなければならないのだ。
「食べなくてもいいさ。ケージに入れて可愛がってやってくれ」
 真顔で言ったシンジに幾分呆れながら、
「諦めた、わけじゃあないらしいね。それにあんた、血はちゃんと消して置かなくてはいけないよ」
「携帯しなくちゃならない。その場で用済みならいいんだが。ところで、喚ぶのはこっちの血の方がいいのか?」
 シンジが手を下に向け、弾くような仕種をすると指の先から一滴の血が飛んだ。
 だが、シンジの手には傷口など見られない。
 だとしたら、それはシンジの血ではないのか?
「眉一つ動かさずに消す、やはりあたしが見込んだだけの事はあるね」
「別に嬉しくもない。それより、ここの連中は外国人を見たら、絡むように教育されているのか?」
「堕ちたんだよ。英国紳士、の単語も今は昔さ」
「その程度か?」
「何だって?」
「英国とか紳士とか、あんたがここを知っているのはその程度の時の流れか?」
「さて、ね」
 ローザはそれには答えず、
「さっきクレアが、泣きながら帰ってきたよ。どうして気が変わったね?」
「グレイプニル」
 シンジの言葉に、刹那ローザの表情が動いた。
 もっとも、シンジでなければ分から無かったであろう程のそれであったが。
「何の事だい」
「店の壁に掛かっている紐を見た時、ふとその単語が浮かんだ。たしか、口に手を突っ込んだ嘘つきの神の右手と引き替えに、巨大な妖狼を封じたそれだったな」
「チュール神だよ」
 ローザが補足した。
「神々が手に負えぬそれを、黒妖精達の紐が束縛してのけたのさ」
「見たことがあるような口調だな」
 おかしな言い方だが、ローザはうっすらと笑った。
 シンジもそれ以上は言わず、
「一つ訊きたいんだが」
「何だね?」
「神が人の形を取っていた頃、貴女は誰に仕えていた?」
 今までとは違う、丁寧な言い方であった。
 そう、幾星霜を経て来た者に相応しい畏敬を持ったそれの。
 ローザはすぐには答えず、シンジの顔を見つめた。
「風が囁き草木が噂する。あんたはどうやら、全部を使えるらしいね。人が手にしてはならぬ力、それを持った人間に免じて教えてやるよ」
 言葉を切ったその表情はまるで、受胎をとある乙女に告知した天使にも、どこか似ているようにシンジには見えた。
「冥府の女王、ヘル様だよ」
「魔神ロキの子供達の一人だな。そうか、そう言うことか」
 一人頷いたシンジに、
「あんた一人なら風を使って飛翔もできるだろう。だが、あんたが遭う相手は片手間に済む相手じゃない。あたしが車を手配してやるから、あんたは少し中で寝ておいき」
 老婆の申し出を、シンジは素直に受けた。
「分かった、ありがとう」
 奥の部屋に焚かれていた香は、シンジには初めての匂いであったが、どんな効果を持っていたものか、シンジはすやすやと眠っていた。
「午後十時…」
 むくっと起きあがったシンジは、時計を見て呟いた。
 そんなに疲れていなかった筈だが、妙に身体が軽くなったような気がする。
 が、服はちゃんと着ているし、香にその効果があったらしい。
 ベッドから降りたシンジは、テーブルの上にメモを見つけた。
「魔法陣は時間がかかるからね、あたしが行って描いておいてやるよ。車は手配して置いたから、それに乗っておいで」
 思わず目を見張るような達筆で記されたそれを読み終えた時、表でクラクションが鳴った。
「にゅ?」
 軽く頭を振って出て行くと、漆黒のローバーが止まっている。
 ただ、どう見てもハイヤーのそれには見えず、シンジがはてと首を傾げた所でドアが開いた。
「どうぞ」
「……!?」
 中から、エメラルドグリーンの瞳がじっと見つめていたのだ。
「クレア、どうしてここに」
「あなたが連れて行ってくれないなら、私が付いていくわ。例えそれが、地の果てであっても」
 刹那その顔を見返したシンジだが、ふうと軽く溜息をつくと、
「そこまでホラーハウスが好きなら来るがいい」
 幾分冷たい口調で行って乗り込んだが、
「勿論よ、そうこなくちゃ」
 クレアは勢いよくアクセルを踏み込んだ。
 
 
 
 
 
(つづく)


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