No4. 6月1日〜
6月1日 晴れ、曇り、小雨=英国天気の典型
少しずつ仕事を皆に割り振っている。運転は完全にテツに渡せた。ナビはカキ。撮影はタツヤ。だがまだまだ心もとないことが多い。細かいチェクが欠かせないが…?
ついにEdinburgh に入る。まず領事館によってご挨拶。Edinburgh は最も滞在予定が長いから、今後も御世話になりそうだ。3日間滞在するB&B
とっても親切な老夫婦がやっているSuter Villa 部屋も広くて清潔、バスが広い!
17:00 レセプション 女性陣は衣装の着物を、私とタツヤは作務依、テツ、カキ、クスは衣装の黒タッツケで。フォーマルな服装が多い会場内で無茶苦茶目立つ、と言うより”場違い”。我々の異様な風体は、チラホラと会場内の話題にさえなっている様子。「何だあいつ等は…」と言ったところか…?それもつかの間、広い会場に人が溢れかえる、600人も参加者があるらしい!英国の太鼓グループ「無限響」のミユキとNeil に感動の再会、彼らとは今後3ヶ月間に何度か共演する予定。彼らと再会を喜んでいると偶然、8月に一緒に芝居を作るアンとも出会える。英国人の演出家だからキツイイメージを持ってきたけど、フワーとした柔らかい感じの人。スポンサーやら何やら色々な方を紹介された。他のメンバーも其々、大學教授や商社のご婦人方との会話の輪に入っている、カキが…!テツが…!?日本では決して出来ない貴重な体験だ。
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Scotland領事館で | アン達と | パーティー後のPub |
6月2日(土曜日)Meadows Festival 英国天気 やってしまった!
どこで情報が混乱したのか、英国一古い領主屋敷での御祭りと聞いてきたのだが、全く違いEdinburgh
中心部の大きな公園で開かれる大きなお祭り。Brighton を思い出し”あれ、また…?”と一瞬思ってしまったが、ボランティアを中心とした本当の意味での市民祭りで”草の根の交流”を目的とする我々にはピッタリだった。ただその分運営や設営が雑で…。勿論許容しなければならないが、舞台はガタガタ、仕事の役割や指示系統さえ判らないから、リハーサルも本番も勝手にやるしかない。本当に勝手気ままなお祭り…、その反動としてか場内には一切アルコール類は無い。終演後「祭りに酒は…」とうめいたクス、20分も歩いて酒屋までビールを買出しに。
チンドンで場内を廻って舞台へ登る予定だったが、時間前からお客さんが舞台テント前に集ってしまった。仕方ないので舞台へとりあえず出て、打ち込み、そこから客の間を抜け、公園に・・。ところがここでアクシデント、子供達が遊んでいるサッカーのボールが、何と私のチンドン太鼓に命中、打ち鐘の紐が片方切れてしまった。無理やり演奏し続け早めに舞台へ戻るも、打ち合わせした段取りが上の空…。何とかお囃子までは繋げたが、獅子舞の動きを大事な所で間違え、さらにはセンターで打つ”鬼囃子”が無茶苦茶に…、ああ、きっと客にも判っちゃっただろうな…。
それでも反応は上々で、始めて投げ銭を催促したら何とコインが山の様…、£100以上も集った。やったー、これで今夜は宴会だ! 夜、安くて美味しい中華レストランを見つける。アオイがちょっと疲れ気味で心配だ。
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舞台前で林大使ご夫婦と | 投げ銭 | 異形の者達 |
6月3日(日曜日) 小雨、曇り、晴れ、昨日より風は弱い。ついに大事件発生!
我々の公演は3時半からだから急ぐ必要は無いのだが、駐車問題など(車は公園の芝生を突っ切ってテント裏に止め楽屋にしている。)とにかく仕切りが判らないので、朝食を食べると直出発する。が、誰も来ていない。会場は11時頃までガラーンとしていた。
12:00 無限響のステージを見ていると「鍵をかけたまま車を閉めてしまいました。」と連絡!皆が車外に出しっぱなしにしていた荷物を、急な雨のためトモコが慌てて片付け、テツがキーを付けっぱなしにしていたことを知らずにロックしてしまった、と言うわけだ。スペアキーは無い。日常的な気遣いに対する落差が生んだ悲劇。よくあることでもあるが、大アクシデントだ。今日の公演はおろか今後の日程さえ危ぶまれる。日本では針金を窓からさし込んで開ける経験は何度もしているが…。TOYOTA車とは言え英国、おまけに新車…。針金を見つけガタガタやっていると大勢集ってきて”ああしろ、こうしろ”ととにかく煩い、中には窓枠ゴムを外そうとする者まで…、経験があるのかと聞くと”No” 「止めてくれ!大事な新車を壊すな!」
そうこうする内に”無限響”のステージが終わりミユキが舞台裏に出てきた。直にRAC(日本のJEF)に連絡してくれる。するとこの車はRACに登録されていて直に来てくれると…。公演の時間に間に合うかどうかが問題、しかし日本と違いそんな短時間で駈けつけてくれるとは思えない。
ところが連絡後30分で来てくれました、まっ黄色の車に乗った無骨な神様が…。取り出した道具は、私が使っているのと同じような針金数本。ドアにプラスチックのクサビを入れ隙間をつくり、そこから針金でロックを外すやりかた、実にシンプル。神様、15分の悪戦苦闘の末、ついにロックに針金がかかり見事ドアが開いた。ブラボー!思わず皆で万歳!I
love ガリー(彼の名前)!
2:30 神輿と一緒にチンドンをやることに。昨日は神輿の後ろについたらあっと言う間において行かれたので今日は神輿の前を…。神輿に対する考え方”重たいものを皆が力を合わせて必死で担ぐ快感”を伝えることは、殆ど不可能。重たいものは早く運んでしまおうと言う目的意識しか無い。しかも同じ所へ戻ってくる「そんな”馬鹿なこと”でもどうも”文化らしい”ので手伝いはするが、早く終わりたい」という感じがありあり、”しんどさを楽しむ”感性こそが日本文化の重要な要素なのだと言う所にはついに辿りつかない。こういうことを説明できる日本人がいないことこそが、国際交流の一番の問題のように思う。
3:30からの予定だったが、前に2つもロックバンドがはいり、20分おす。僕らのステージを見に来てくれたお客さんも結構いるよう。ガッカリして帰ってしまう人さえ…。急ぎ太鼓の配置をして衣装を着替え、すぐに公園の入り口付近からチンドン、そのまま舞台に上がる。七福神の紹介。反応は凄くいい。こんな恥知らずな日本人は恐らく見たことが無いのだろう。どんどん盛りあがり、最後は大拍手。無限響のメンバーも飛んで来てくれる。昨日来て今日も来たという日本人のお客さんから、梅干入りオムスビの差入れ、車の中で涙ぐんで食べた。
「無限響」の終演を待ち、そろってPub へ。Neil が足を捻挫しているようで大変そうだが、相変わらずの心配りで、すっかりご馳走になってしまった。彼らとは実に馬が合う、本当に良い気持ちで飲めた。こう言う出会いや交流こそこの旅に求めたものだ。最高!
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リハーサル | ゴッドハンドで鍵を開ける | 無限響と共に |