無限響の紹介
Neil & Miyuki Mr.Uemura & Teresa
ミユキとNeil 植村君とTeresa

 「無限響」は英国で唯一のプロ和太鼓集団。石川県の「響太鼓」の指導を受けたNeil とミユキが中心になり頑張っている。現在は日本人の植村君と英国人のTeresa との4人編成、ミユキは日本と英国のハーフでNeil はScotish…、英国ではそれ程特殊なことでは無いが、実にInternational な集団だ。奇遇か必然か、4ヶ月近くになる僕らの旅で最も出会うことの多い人達になった。
 太鼓が英国でこれだけポピュラーになりつつあるのも、地道な彼らの活動の影響大と私は考えている。日本から演奏旅行に来る”太鼓グループ”は勿論だが、日本政府や大使館にも彼らへの積極的評価を促したいところだ。経済第一主義の英国人が多い中で純粋に太鼓を愛し、演奏や旅を楽しんでいる”アーティスト”集団だ。
 勿論、経済第一主義は英国だけでは無い。ただ日本人には経済第一に開き直り切れない”後ろめたさ”が付き纏うのに対し、英国人には”後ろめたさ”の陰も無いように感じる。つまり”生きるための基本”と明確に肯定している。日本人旅行者が海外で度々、騙されるとか、狙われるとかいうのも、一つにはこの”経済第一主義”を肯定し切れない”日本的お人よし”から来る様に思う。それも”甘えの構造”と言っても良いのかもしれない
 事実、2年前私に最初にコンタクトを取ってきた英国人は、”太鼓や日本文化”を明らかにビジネスと捉えていた。彼にとって日本文化など実はどうでもいいのだ。金になりそうだから”太鼓”に関わった、私に連絡を付けた、それだけだ。それが本当に”生きるため”だったのなら許せる、しかし問題は日本人も英国人も、もう既に十分満たされている”先進国”に属し”生きるための根拠”としての”危機感”を失ってしまっていることだろう。お題目だけで、文化にまで大上段に金儲けを持ち込まれたのでは、”後ろめたさ”の文化に”後ろめたさ”への”配慮”も無く”土足”で踏み込まれては、それは文化摩擦いや文化帝国主義と言うものだ。
 私は「経済を超えた人と人との”交流”を如何に築けるか?」こそ、この”生きるための危機感を喪失してしまった”現代社会における”表現”の存在理由でさえあると考える。それはこの旅の基本的なテーマだ。もしかしたら”日本文化”を紹介するとは、”甘えの構造によって培われた僕らの感性”を先ず明らかにすることなのかもしれない。そんな私にとって損得を超えて必死に活動している「無限響」との出会いと交流は、感動であり、未来へ向けて大きな可能性を感じさせてくれる。結果的にこの旅で僕らとの関係が最も深い友人になった。