CAIRNS MOSSMAN TOWNSVILLE BRISBANE

Canberra

ホテル前景 キッセイ・華ちゃん バスへの積み込み

25日 キャンベラ

 9:45 ブリスベンからシドニーを経由した陸送荷物車の辻さんが到着。帰国などの打ち合わせ。
結局「宮太鼓」が重量オーバーで手荷物では無理と言う結論になり、それなら大箱荷物も入国と同じように別送になるらしい。我々としては小分けする梱包の煩わしさや紛失の危険を回避できて嬉しい。しかも辻さんは今日の会場までお付き合い頂けるので、朝の積み替え作業は無くなった。
10:30 バスが到着する。しかし荷物スペースは小さく、とても太鼓類を運べない。日本にいる時から何度も確認したのに…、またトラブルだ。
最初の現場には荷物を辻さんが運んで頂けるのでとりあえず大丈夫だが…。バスをさらに大型のものに、変更するらしい。
11:30 Garema Place にセットアップ。イメージとしては歌舞伎町のコマ劇場前広場、かな…? 予想通り、大型バスは現場近くには入れない。
辻さんがいてくれたので、ステージ脇まで荷物車を横付けしてもらう。さらに車を楽屋としても使わせていただく。
チンドン屋だけなら楽屋など必要ないが、太鼓などのショーを構成するためには必要不可欠だ。
ホテルから現場まで歩いても10分程度、荷物車さえあれば問題は無い。何故キャンベラだけが荷物のつみ置きの出来ないバスなのか疑問だ。
いつものことだが、鞘抜が三味線の練習を始めると珍しそうに近寄ってくる人がいる。人寄せに使わせてもらう。
12:00 少し前から七福神でチンドンを始める。ステージ前の空間が広すぎて、聞いている人達も遠巻きにしている。座るのに良い段差が遠いことが大きな原因だが、何より通行人の数そのものが少ない。人は徐々に集まり楽しそうに聞いてくれるが、立ち去る人もいて、ショーとしての熱気や一体感を作り出すことは困難だ。ここは流れていく通行人に、チンドン屋として引いた立場で宣伝に徹したいが、「何を宣伝するのか?」基本的なコンセプトがないので中途半端。皆も聞いてくれている人の方に、ドンドン押し出してしまう。通行人の足を止めさせる大道芸としてなら、もっと別の手を使わなければならない。しかしそれには七福神衣装は派手過ぎる。当然ながら、鞘抜氏独りの三味線の方が成立する。
12:45 太鼓をやりだすと、人垣はづっと多くなる。盛大な拍手をもらい終了。
辻さんが荷物をホテルまで運んでくださることになり、とりあえず確認の意味もあり大きな太鼓だけは遠いバスに積み込む。
15:00 27日の現場下見にカッキーを伴って出かける。
16:00 ホテルに戻り、夕方のの準備。積み込み。宮太鼓と締めを一台づつ。
17:30 Craft ACT と言う「日豪交流年」事業の展示会をしているオープニング・セレモニーの賑やかし。
チンドンを20分。津軽三味線で繋いでもらい、私の「まさる」ソロ一曲。
18:00 七福神姿でレセプションに出席。芸術作品の展示会に、あたかも主賓のようにいる”居心地の悪さ”
19:30 荷物をホテルの8階の部屋に入れる。先が思いやられる…。
Garema Place Craft ACT 前で レセプション会場

26日(金)

 8:15 息が白い、もう冬だ。バスに積み込み。後部にトイレも付いている50人乗り大型バス。
 8:50 St.Monica Primary School 小さな講堂。道路に面して搬入口があり、助かる。裏のパソコンルームを楽屋に使わせてもらうことに。
近在4校から約500人の子供たちが来ると言う。年齢層は10歳〜14歳。
10:10 近在の学校からのバスが遅れ、10分押しで始まる。客席後ろへ移動するさい、廊下に立たされた悪戯っ子の前を通る。
登場すると、子供たちは大喜び。客席は立錐の余地も無い。「竹雀」「千鳥」「お祭りマンボ」
伝統的な曲を演奏すると振って「ワルチング・マチルダ」 もう歌いだす。
サングラスをかけるだけで、大受け。「ロック・アラウンド・ザクロック」 ノリノリだ! 「四丁目」盛大な拍手。
「口上」 笑いで声が聞こえているのか心配になるほど。
「ガラクタ」 当然、大笑い。盛大に拍手。
「津軽三味線」 真剣に聞いて、拍手・歓声。
「鬼囃子」「馬鹿囃子」 ちょっと難しい説明もしっかり聞いてくれる。
ワークショップ 3組  叩けない子供が可愛そうだ。
11:10 「波」「終演」 拍手なりやまず…。 ただちに積み込み。
11:50 動物園でお弁当の受け取り。 移動車中で昼飯。
七人の乗る大型バス St Monica School 舞台
12:30 Charles Condor Primary School 着。 午前中よりは広い講堂。 直ちに搬入。
髪にリボンを結び、ネクタイをダラシナク巻き、子供の制服のような、何とも可笑しな格好の先生が担当。
何と、今日は生徒達は自由な服装で、先生が制服を着る日なのだそうだ! 実に面白い。
その先生が冒頭に「この学校には貧乏で遠足にも行けない子供達がいる。こういう企画をしてもらい、本当に有難い。」と挨拶される。
1998年に私の子供達が通った英国の学校での、貧乏な子供達の悲惨な状態を思い出し、胸が熱くなる。これは頑張らないわけには行かない。
だが、時間は限られている。他校からも参加し、なおかつ小学校は親の迎えがあるので、終了時間は厳守なのだ。
8歳〜16歳までと年齢層も幅の広い約500人の子供達に、どう展開するか必死に考える。
14:00 色々考えたが、やはり子供の到着が遅れ15分も押して始まり、残念ながらカットしていく以外手が無い。
客席後ろから登場すると、生徒達は一気にヒートアップ。全員総立ちだ。先生達が抑えるのに苦労している。
少し落ち着かせながら展開させたいが、僅かでもワークショップをするためには、間を取らずに突っ走るしかない。
かろうじて10分、3組の子供達を舞台に上げた。
14:45 「終演」 きっちり時間通りに終わらせる。 熱狂的な興奮状態だ。
木造の洒落た校舎 髪飾りをつける華ちゃん 講堂内部

27日(土) 曇り時々晴れ

バスを道路で待つ 公民館前景 会場内
 9:40 荷物を大型バスの停められる裏の道路まで、8階の部屋から運ぶ。
10:20 MajuraCommunity Centre に到着。大型バスを裏の搬入口に入れるのに少し苦労する。直ぐに搬入仕込み。
小さな公民館だが、手作りで「祭り」を作ろうと言う熱意が伝わってくる。殆どが女性。どこへ行っても、頑張っている日本人女性の姿に出会う。
日本は「女性の国」だと改めて思う。私は「駄目な男の代表」として、少しでもお手伝いができれば、と思う。
11:35 ほぼ定刻どおりショーをスタート。チンドンはいつもどおり。ガラクタをフルで。獅子舞はカット。
12:40 「波」「鬼」「馬鹿」「まさる」「終演」で終了。最前列の老夫婦が真っ先にスタンディング。後は…。熱い、熱い、拍手だ。
片付けて会場に出ると、大勢の人達から微笑みと挨拶をされる。「素晴らしかった!」「コメディーと伝統のバランスが良い。」「また是非みたい。」「次は何処でやる?」etc. 市内や学校で「ショー」を一度見た人たちがリピーターとして来てくれている。それが本当に嬉しい。
主催者も在外公館の方々も皆さん喜んでくれている。良かった。
美味しい”トン汁”と”アンパン”などで昼食。お餅やたこ焼きなどもお店はでているが、大人気で長蛇の列。
14時から盆踊りの伴奏をする予定だったが、急遽「ショー」をもう一度やってくれないかと相談を受ける。遅れてきた人達に見せたいと言う。それはこの段階では不可能だが、盆踊りの後にリクエストのあった「口上」と「三味線」をやり、その後七福神の衣装で「東京ラプソディー」「ワルチング・マチルダ」を皆さんと一緒に歌いエンディングとすることで対応する。
14:05 「盆踊り」 「東京音頭」「炭坑節」を太鼓を叩きながら。
14:35 口上から始めて、「ワルチング・マチルダ」の合唱で終了。
15:10 別送する荷物の荷積み。辻さんにお任せすれば心配は無い。
スーパーで買出しをし、部屋で慎ましい打ち上げ。贅沢にスパークリング・ワインを開けた。「大成功」に皆満足している。
たこ焼きに並ぶ人達 少しの間も惜しみ稽古 主催者・大使館員と共に

ついにこのツアーも終わる。何時だってそうだが、終わってしまえばあっと言う間だ。きっと人生もあっという間に終わるに違いない。
梅雨のケアンズ、プールに飛び込んだ夏のミッションビーチから、最終公演地キャンベラ、一気に長袖2枚重ねでも寒い冬が来た。実際、朝晩は部屋のヒーターをつけている。皮ジャンやロング・コートだって当たり前だ。
暖かい観光地から、寒い官庁街に来たせいもあるだろうが、町並みや歩く人の顔つきまで、険しくなっているように感じられるのは思い過ごしだろうか…?
荷物やビザで揉めたにもかかわらず、ケアンズの入管では笑顔さえあったのに、南へ下ってくるに従い、上からものを言われてるような”偉そうな態度”に出会うことも多くなった。ホテルや学校の受付でさえ…。
人と人との距離感、思いやり、いたわりあい等が草の根交流には圧倒的に必要なことは言うまでも無い。だが、これが難しい。しかも言葉が通じる日本人同士の方がより難しいと感じる。「本音と建前」「群れ意識」…、50歳を過ぎて未だにそんなことに悩んでいる私が未成熟な子供なのだろうか…?

28日 (日)晴れ シドニーへの移動

27日で日記を終えようかと思っていたが、面白いことがあった。
朝迎えに来たバス、なんとこれまでで一番大きな2階建て…。運転手は「大きな楽器はどうした?」と聞いてくる。僕らは本当に小さな個人荷物のみ。国内便飛行機は小さく持ち込める荷物が限られるので、楽器や衣装類も別送荷物と一緒に、昨日辻さんにお願いしてシドニーへ運んでもらったのだ。
60人は乗れるバスに7人のみ。2階建てが珍しく眺めがいいので、皆一番前に固まって座った。漫画的光景。

散歩で出会った女の子 最前列に固まる シドニーへの飛行機