あとがき

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 中学の頃からやりたかった北海道一周の自転車旅行が完結した。

 まあ、漫画をはじめとする様々な出版物(サイクル野郎・15少年漂流記等)の影響が多かったと思うが、とにかく現時点でできる最大限の冒険ができたわけである。

 私の場合は、大学にはいるような能力もなかったわけだし、このような長旅は最初で最後である。

 旅の途中は、坂を登り、悪路を押し、雨や風に悩まされ、幾度となく帰りたくなったこともあったし、どちらかと思えば、苦しいことの方が多かったこ旅だが、終わってみれば懐かしい。確かに家にいれば、食べ物も家族も友人もテレビまでもそろっており、まるで天国である。

 しかしながら今にしても、あの苦しかった28日間がいとおしく感じてしまう。

 きっとまた旅に出ることを誓ってこの旅日記を終わる。

1981年7月25日〜8月21日まで 28日間      費用・・・土産・フェリー代込みで50,000円
愛車・・・フジフェザーコンポキャンピングタイプ      全走行距離・・・・2,800km

 加藤 修 16歳  山形県立酒田工業高校土木科2年生 夏休み

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 上記は旅した当時の日記帳に書いてあったあとがきのようなものである。

 なんといっても当時はコンビニも無い、CD(キャッシュディスペンサー)も無い、それでいて酒の楽しみはやっと囓ったくらいで、温泉に入るすべも知らない子供がよく1ヶ月近く旅をしていたものである。特に賛同した家族や資金を稼がせてくれたバイト先、ましてや餞別をくれた同級生を初めとした友人には感謝感激雨霰といったところである。

 このあとは確かにいい年である現在も旅を続けている今日この頃だが、これほどまでの旅はできていない。社会や家庭のしがらみからは抜け出せないでいるのである。

 それでも人に誇れる経験ができたことがこのような形に残しておけるという時代がすばらしい。


 とりあえず、  2002.1.22