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アルムの山小屋製作日誌 めざせ標高1111メートル

第二回

9/15
 八月が終わって早くも半月。夏休みも遠い思い出であります。
 台風もやってくるようですが、山小屋制作は「ぼちぼち」やってます。

 工作は得意ではありませんので、木材はバルサ。壁は発泡スチロール。

 カッターナイフと彫刻刀とノリしか使わない、小学生レベルの超手抜き。安直きわまりないデスクトップ制作です。

 当初は本当のログハウスみたいに木を組み合わせて・・とも思ったのですが、手間がおもったよりかかりますし、なにより本格的ジオラマを作られた方がネットで発表しているのに気がついて、同じ方向ではとてもかないませんので、別の面からやってみようと思ったしだいです。

 ハイジのジオラマ  やっぱり、すごい方がいます。(^ ^;)


 レゴで組んだことで、だいたいの寸法の目安がつき、それを元にイラストレータで設計図を引きました。少し作っては修正し、また作っては修正の繰り返しです。
 プリントアウトして、紙の上に直接素材をおいて現物あわせで削って形をととのえてます。


 高畑ハイジの設定にできるだけ忠実に作ろうと、実際に手を動かしてみると、いくつか疑問点がでます。列記してみます。


 1・戸棚の向こうはどうなっているんだぁ?

 山小屋の一階の壁に、つくりつけの戸棚があります。
 食器や着替えをしまっているのですが、おんじのコートなどが奥に向かって縦にかかっていますので、奥行きは50センチはあるはずです。

 しかし、扉は壁とほぼ水平なので、奥行きはすべて壁の中にあることになりますが、どんな構造になっているのだろーか???
 奥行きの向こうの壁のさらに向こうは屋外になるはずで、戸棚の貴重物の保管に支障のないだけの充分な厚みがあるとしたら、全体で1メートル近い要塞みたいな壁になります。
 よく目にする宮崎駿が描いたアニメの設定でも実にあいまいな部分ですが、ジブリ美術館のハイジ展の図録の設定図をみて、「あっ」と声をあげました。

 他の文献に出てくる設定図では空白になっているところに、薄く「ナゾ」と書かれているのです。
 宮崎さんもどうしていいかよく考えていない部分だったのがわかりました。
 同じジブリでも絵葉書の方は、この「ナゾ」の文字の部分が修正されて消されています。

 変なことに気がついてしまいました(汗)


 2・エントツの位置と構造。

 戸棚問題にも影響するのですが、19世紀の山小屋にエントツを作る場合どうするのだろうか? ということです。

 けっこうスリムなエントツですが屋根の上までありますので、計算すると一階で火を扱うおんじの頭上から2メートル以上のびています。

 冬中火を燃やし続けても、絶対に小屋の木材構造部分に熱を伝えない断熱性の高い素材のはずです。
 19世紀の山の中ですから軽量素材が使えたとも思えません。
 レンガなどで造り、外を漆喰などで白く固めたとしたら相当な重量になります。

 家のまわりの白壁部分は、自然石をつみあげ、それを白土でかためたものだと思います。


イエニンスの民家 写真提供 高橋竹夫さま


 日本の伝統的耐火建築の「土蔵」は中心部に木組みがありますが、スイスのこの手の建築もある程度木組みがあるような写真も目にします。
 ログハウスのような木組みは、スキマが発生しますので、外気を完全に遮断して保温するには分厚い土壁にする必要があるのでしょう。

 今年公開された実写版ハイジの山小屋は、木組みの壁でスキマから外の光がもれていて、「あれでは冬は暮らせないよ」と思ってしまいました。

 結局、壁の建築にはあまり自由度はなく、壁の途中からエントツを付き出して空中で支えるというのはまず無理でしょう。
 この点、宮崎駿の設定や、それを基にしたジブリ美術館での室内の実物大再現は納得できません。

 エントツは大地からまっすぐ積み上げられていないと、そのうち自重でおんじの頭の上におっこちてくるのではないでしょうか??
 ゾッとしますが、これは私の妄想なので、実際のスイスのエントツの構造を知ってる方、情報お願いいたします。
 これはこれまで作られたどの「ハイジのドールハウス」でも解決していない問題です。
 それに家の一番端にエントツがあるとすると、空から山小屋を見た場合のエントツの位置がなんだか中心によりすぎているような気もするのです。


 3・二階の乾草はどこから入れた?

 ハイジがベッドを作る屋根裏部屋には、冬のあいだヤギ達がたべる乾草がたっぷりあって、いい香りがしています。泊まってみたいっです!

 でも、あんな大量の乾草どこから入れたのでしょう???

 二階においておくというのは、絶対に湿気がこもらないよう乾燥させるためですが、ハイジが昇ったり降りたりするハシゴから、乾草を上げ下ろしするわけはないです。
 入り口が狭すぎますし、毎回部屋の中が乾草だらけになってしまいます。

 なんだかアニメの設定は裏側に疑問が集中するようですが、おそらく乾草を出し入れする専用の入り口が裏側にあるのでしょう。

 それは屋外でスロープか階段になっていて、縦横90センチくらいの木の扉になっているのではないでしょうか?

 そして乾草のそばにはエントツの中間部分が露出しているはずで、少しは熱がもれでていて乾燥を補助するのかもしれません。

 二階はそうとうに暖かくないと冬のハイジがかわいそうですしね。
 (あの雪の吹き込みは少々やりすぎと思いますが・・)
 

 それから、実際のアルムの山小屋は裏側に四角いマドがあります。
 前のマドも四角で同じなんですが、「ハイジに会いたい!」純丘曜彰著によると、現実のアルムの山小屋はアニメのロケのずいぶん前に、一度火災にあったらしいとあります。
 ですから、スピリ時代の山小屋について、あまり現代の状態にとらわれる必要はないでしょう。
 この件については、後ほど、改めて書いてみます。


 その他、アルムの山小屋最大のナゾである「地下室」はさておき、上記の点に悩みつつも「アニメ版アルムの山小屋」を完成させましょう。

 次回は設計図公開です。(^ ^;)

2006/9/18 

山小屋制作日誌 3 へつづく