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I have a good news.
クロアチアのザグレブからミラノのマルペンサ空港に着いたときのことだった。どこの空港でもそうだが、市街地へ向かう路線バスの乗り場は混雑している。だいたいヨーロッパでは空港からレンタカーで出発するので、このような混雑には慣れていなかった。

バス乗り場の周辺はごった返していて、バスはすでに満員に近い状態だった。すぐにも発車しそうだったので、係員にせき立てられるままにチケットを示してカバンをバスの横腹のとびらの中の荷物室へと押し込んだ。バスに乗り込もうとしたら「満員だ」と運転手から阻止された。仕方なく諦めると、すぐバスは出発していった。僕らのカバンを乗せたまま。

ターミナルに戻ってイミグレーションをくぐり抜け、Lost & Foundのオフィスでカバンだけが行ってしまった状況を説明した。カバンの形状・中に入っているもの・積み込んだバスの行く先など、イタリア人の係員との英語での会話は十分な意思疎通ができず、仕方なくイラストを描いて詳細を説明した。イタリア語会話を勉強しておくべきだったと後悔した。

Mは係員と秘密の通路のようなドアを通り抜けてバス乗り場へ出かけた。係員にどこから、どのバスに積み込んだのかを説明するために出かけて行った。後で聞けば、カバンの行方を心配するよりも、秘密のドア付近にいる麻薬探知犬の頭をなでたりして、結構楽しんできたらしい。
  


なにしろここはイタリアだ。カバンは見つからないかもしれない。あきらめが必要かもしれない。カバンがない場合の今後の旅行を考えたほうがいいかもしれないと僕のほうは半ば絶望的な気分になった。なんの問題解決もないまま1時間ほどじりじりしながら待機していると、笑顔の女性係員がドアを開けて部屋に入ってきた。

「I have a good news!」。

彼女の説明によれば市街のバスターミナルでカバンを保管しているという。おお、イタリア。この時からマルペンサ空港は最も好きな空港になったのだった。

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