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ジプシーにファンデーションをかけられた | |
ミラノの中央駅からドゥオモに向かって,裏通りの人通りの少ない道を歩いていた。向こうから少し薄汚れた衣服のジプシーの男女が歩いてきて僕らとすれ違った。 まず,男がすれ違った。そのとき僕の後ろを歩いていたMが叫んだ。「前に歩いて!」。そして女が続いてすれ違った。この時彼らがすれ違いざまに僕のコートにファンデーションをかけたということが,後でMに聞いてわかった。まず,前を歩く男がファンデーションをかけ,後ろから来る女が「コートに何か着いて汚れていますよ」と注意をコートのほうに向けてコートを脱がせ,そのパニック状況のときに二人で財布をすり取ったりする手口は,ジプシーがよく使う手だということも,後でMに聞いてわかった。(Mはよく研究していて,このようなときはいつも僕のことを「危機管理がなっていない」と叱る。) 怒って下手に彼らと関わり合えば,今度は逆にナイフなどで脅されて身ぐるみはがされることだってあるかもしれないととっさに考え,その場をとにかく離れ |
た。ジプシーの男女は企みが成功しなかったので,逃げるような感じで去って行った。 ラマッタの皮のコートは前日ボローニャで買ったばかりで,その背中の部分全体にファンデーションがべったりと付いているのであった。こんな状態で町を歩くわけにも行かず,タクシーで中央駅に近いホテルへ戻った。フロントの男性にクリーニングを頼んだが,すぐはできないと言う。僕のあわてた態度に動じる様子も同情するそぶりもない。こんなことは,よくあることだから気にしたって始まらないよ,とでもいいたい様子だった。 仕方なく部屋に戻り,丹念にタオルで拭き取ってなんとか着て歩ける状態になるまでかなり時間がかかった。金を取られなかっただけでもいいか,と立ち直った。 ミラノではジプシーに注意しましょう。 |