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ニューヨークフィルの「新世界」
9.11の同時テロの後のニューヨーク。ニューイヤーのコンサートに出かけた。日本のコンサートと違って,ニューヨークフィルの演奏者たちと客席の聴衆が休憩の時間には舞台に近寄って互いに雑談を交わすような,親密なコンサートだった。

ニューヨークフィルの本拠地のアベリー・フィッシャー・ホールはすこし古びた感じがした。この夜のコンサートは,速いテンポの「リュスランとリュドミラ」でいきなり始まった。ついで五嶋みどりのグラズノフのバイオリン協奏曲,そしてドヴォルザークの「新世界」。

数日前に9.11のグラウンド・ゼロを見てきたからかもしれないが,この日のプログラムの構成はアメリカの過去・現在・未来を表現しているような気がした。にぎやかなリュスランとリュドミラは過去のアメリカ,重く悲しげなグラズノフは現状のアメリカ,そしてドヴォルザークは未来へのアメリカの再生の祈りを託したようなそんなプログラム構成のようにも思えてならなかった。

五嶋みどりは華奢な体で悲しみを全身で表現しているような演奏だったし,ドヴォルザークは金管の響きが未来への希望を奏でているように聞こえた。

コンサートが終わってアベリー・フィッシャーホールを出ると,身を切るようなニューヨークの寒さだったが,激動する世界の今を感じたような気がした。Mは肩を露わにした黒いドレスを着ていて,その上にコートを羽織っただけの姿だったが,56thのホテルまで歩いて帰る途上,一言も「寒い!」とは発しなかった。 

当日のチケット。Webで予約した。

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