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マイクとマイケル | |
ウエストサイド。コロンバス・アヴェニューを少し北へ行ったところに,「エメラルド・イン」というアイリッシュ・バーがある。 ひんぱんにNYへの往復を繰り返していたころ,ウエストサイドで食事をした時は必ずこのバーに寄って飲むのがお決まりのコースだった。バーテンダーはマイクとマイケル。二人は交代で店に出ている。このどちらとも顔なじみとなって,やがて親しい口をきく間柄となった。二人は同年代のアイルランド系アメリカ人だが,気むずかしいところも気取ったところも全くなく,アメリカ人特有のフランクな態度で,好きになった。何度か通ったら,厨房に入れてくれたり,カウンターの中に入れてくれたり,まるで古くからの友人のようなもてなしで,本当に居心地のよさを感じさせる店だった。 客たちもフレンドリーだった。ウエストサイドに住む人がほとんどで,半年ぶりに訪れても同じ席に顔見知りの同じ老人の姿を見かけて笑顔で挨拶を交わすのだった。 1年ぐらいこの店にご無沙汰した時期があった。久しぶりにのぞいてみると,カウンターの中には見知らぬ中年の男がいた。話をしてみるとマイクの息子だそうで,マイクもマイケルも「引退」したということだった。「時は流れる」と感じないわけにはいかなかった。同時に私自身も歳を重ねていることを実感したのだった。 マイクとマイケル,今も元気だろうか。 |
![]() アイリッシュバーは緑の看板。 |