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タイムズ・スクエアを中心にしてブロードウェイや７th.Aveなどは通行止めになり，気の早い人たちは夕方から繰り出してその瞬間を待つ。
そんなに早くから行ってもしょうがないと，私たちは２３時を過ぎた頃に出かけるのだが，やはりそのころにはおびただしい人出で，タイムズスクエアはもちろんその近くに行くことなどとても不可能だ。そこでセントラルパークに近い７th.Ave.あたりからはるか遠くにタイムズスクエアの方向をにらみながらその瞬間を待った。
次第に熱気が高まり，１０秒前ぐらいから一斉にカウントダウンが始まったので自然に大声で合わせた。「・・・５，４，３，２，１，Happy New Year!」 わーっと大歓声が超高層の街並みにこだまし，セントラルパークに花火が上がった。
タイムズスクエアがかすかに見えるのだが，ゆっくり下がっていくクリスタル・ボールなどは全く見えない。花火の数は少なく物足りない。その熱気は持続することもなく，まるで芝居が突然中断したような感じだった。ただこれだけのことで，みんなぞろぞろと帰り始めるのだった。これで盛り上がったことになるのだろうか，満足感のようなものは得られたのだろうかといつも拍子抜けの感じで私たちもホテルに帰るのだった。
あっけない年の始まり。だけどまたきっと出かけて行くだろう。
記念写真を撮ろうとしたら，ニューヨーク市警が「俺も，俺も」と割り込んできて，Mは指先だけしか写らなかった。