contents

トップページ
ヨーロッパ速度無制限
貿易風に吹かれて
アジアの優雅な日々
トラベルはトラブル
世界はうまい
ホテルいろいろ
やっぱりNY
思い出に残る街
今日も大空へ
旅のアラカルト
旅のおみやげ

海辺の小さな町(イタリア)
観光地のポルトヴェーネルで泊まるのはいやだったので,少し離れてどこか小さな町で泊まろうと車を走らせた。リグリア海の海岸線に沿って南下し,テラロという小さな町に入り込むと,道は小さな広場で行き止まりになった。

すぐ近くにアルベルゴがあったのでそこに泊まることにし,駐車場の場所をたずねたが,受け付けてくれたおばあさんのイタリア語の説明は全く分からない。地図を書いてほしいと頼むと,ホテルの場所と駐車場の場所を丸印を2つ書いてしゃべりまくるだけだった。全く要領を得ない。何度か経験したことだが,イタリア人は地図を書くのが得意ではないように思えた。

らちがあかないので,このホテルの遊び人風の若主人に車に同乗してもらい,駐車場まで案内してもらうことにした。「まっすぐ」とか「右」とかイタリア語で彼は指示するが,なんとか理解できた。駐車場はホテルから大きく迂回して坂を登った上のほうにあった。これでは分かるわけがない。小さな町では車社会の発達に対応できず,駐車場を遠くに作らなければならなかったのだろう。

夕食は町のレストランで食べることにし,オレンジ色の街灯が灯る暗い道を歩いた。石畳の路地はこぎれいで,田舎町には不釣り合いとも思えるレストランがあった。白いテーブルクロスのきちんとしたレストランで,イワシとルッコラのオードヴル,アルデンテシモのスパゲティ・ボンゴーレ,大エビのグリルなどの料理は思わず「うまい!」と叫んでしまったほどだった。意外なところで意外なおいしさに出合うことほどうれしいことはない。

この町は決して雑誌『クレア』や『フィガロ』などに紹介されることはないだろう。私はこんな小さな町を訪ねる旅が好きだ。

ホテルの窓から


街灯が灯る路地

前ページへ>