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ストックホルム(スウェーデン) | |
スウェーデン,ストックホルム。なんと美しい響きだろう。私にはまるで夢の国のようなイメージを抱かせる感じがした。この時は列車でフランスからあちこち立ち寄りながらノルウェーに向かっていた。目的はオスロでムンク美術館に行くこと,そしてノルウェーのフィヨルドを見ることだった。 せっかくスウェーデンを通るのだから,ストックホルムの街を歩かないわけにはいかないと途中下車することにした。到着したときは夜9時を回っていた。駅の構内は酔った若者がたむろしていて物騒な雰囲気だったので,ホテルを探して街へ出るのはやめ,駅前のホテル・テルミナスにチェックインした。 翌日,街を歩いた。王宮では運よく衛兵の交代の儀式に出合い,馬上で管楽器を高らかに吹き鳴らしながら行進する風景は見ていて飽きることがなかった。この日はメーデーだった。ほとんど店は閉まっていて旧市街をひととおり歩くと,行くところがなくなった。オスロ行きの列車は夜10時発なので,時間がたっぷり余った。カフェで時間をつぶしたり,デパートをのぞいたりしても,なかなか時間は過ぎてくれなかった。これほど時間を持て余したことはない。夜になると駅の構内は昨晩と同じように酔った若者が増えた。金髪にブルージーンズの彼ら |
管楽器というよりラッパと言ったほうがふさわしい。 は,見た目には美しかったが,危険なムードだった。どの都市でも感じたことがない怖さがあった。 スウェーデン,ストックホルム。街の印象は,私が抱いていたイメージとは大きくかけ離れていた。発車時刻の1時間前に,すでにホームで待機していた列車に乗り込んだときは,ほっと胸をなで下ろした。逃げるようにしてこの国を後にしたのだった。わずか24時間の滞在だったが,この時はまるで1か月もいたように長く感じられた。今思えば,彼らはフーリガンたちだったのかもしれない。 |