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リポル (スペイン)
アンドラ王国を出発したときは,すでに夕方になっていた。小さな国だから,すぐ国境を越えてスペインに入れるだろうと軽い気持ちだったが,ピレネー山脈を越えるつづら折りの山道は,走っても走っても峠にたどり着かなかった。交通量はほとんどなかった。はたして本当にスペインに向かう正しい道を走っているのだろうかと,心配になったりした。

峠には何もなかった。見晴らしのいいところに瀟洒なホテルでもあるのではないかという期待は裏切られた。下り道も長かった。国境には何もなく,スペインに入りやっと平地に下りると,人家もない山間の少し広がりのある場所に2人の警察官が待ちかまえていた。私たちの車を止めて「オーラ」と声をかけて近寄ってきた。手には自動小銃。2人は私とMのパスポートを入念にチェックし,車のトランクを開けさせてカバンを調べ,丸い鏡のついた棒を車の下に差し込んで調べた。結局,無事に通してもらったが,もし彼らが偽の警官だったとしたら,身ぐるみはがれていてもおかしくなかったろう。

人里へたどり着いて初めての町がリポルだった。もうこの町で泊まるしかないとやっと見つけたホテルは安ホテルだった。チェックインして,ホテルの近所で間に合わせの食事をした。ホワイトアスパラガスが食べたいと言うと,缶詰のアスパラガスが出てきた。わびしいレストランに物足りなさが残ったので,その近くのバーで飲むことにした。

バーはたばこの煙が充満していた。カウンターに案内されると,周囲の男たちが好奇心から寄ってきて,とりとめのない話で盛り上がり,Mは男が首に巻いていたバンダナをプレゼントされたり大もてだった。わびしかった食事などはすっかり忘れ,みんなで興奮の一夜となった。いつものことだが,翌日はつらかった。スペインの人たちはあれで平気なのだろうか。

町の広場。暗くてはっきりしない。


翌日は道路脇のあちこちにひなげしの群生。

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