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プラハ(チェコ)
空港から市街に着き,さらに地下鉄で中心部へ向かおうとしたとき,チェコの細かいお金を持っていなかった。付近に両替できるような場所は見あたらず,仕方なく通りかかった若いカップルに地下鉄の切符が買える分だけでいいからコインに両替してくれないかと頼んだ。彼らは,私には分からない言葉とともに地下鉄の切符とチェコのコインを私に差し出して,私の紙幣を受け取ろうとはしなかった。あっけにとられていると,「メリー,クリスマス」と英語で挨拶の言葉を残して去っていった。チェコの人々に対する印象はこのできごとで決まった。

ブラタバ(モルダウ)川沿いに広がるプラハの街は古い歴史を感じさせる落ち着いたたたずまいで,歩き回って退屈することがなかった。夕方,街の中の狭い路地を歩いていると石造りの建物の中からは室内楽の響きが聞こえてきたりした。

旅は非日常性の中にあるが,黄金小路に行ったときはさらにもっと非日常性の中に迷い込んだような感じがした。カフカの『変身』の非日常性を目の当たりにしたような感覚にとらわれた。また,ラテルナマギカという不思議なパフォーマンスを観た。生の舞台と映像によるスクリーンが一体になった独特の演出だった。スクリーンを破って風景の中から俳優が飛び出してきたりして,ここでも非日常性を味わった。

西欧の文化とはまたひと味違った文化を体験して,月並みだが「世界は広い」と感じないわけにいかなかった。

この街は,春の音楽会が開催されるころにスメタナを聴きに必ずまた訪ねたいと思っている。

市街の中心にある時計台。12時になると時計の上の窓に人形が現れる。


「ほら,みえるでしょ」

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