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ノルチャ(イタリア) | |
ノルチャは、この旅の目的地のひとつであった大平原「ピアーノ・グランデ」の西に位置している。人口は約5000人という小さな村だ。古い歴史があり、「イタリアのもっとも美しい村」のひとつに認定されている。この村にはルレ・エ・シャトーのいいホテルがあるのでそこに泊まることにしていた。 村は14世紀に造られたという城壁で囲まれていて、車は村の住人しか入れず、城壁の外に駐車場がある。この日は珍しく午後の比較的早い時間に着いた。車を駐車して城門をくぐると、ドゥオモなど歴史的な建物に囲まれた広場に出た。イタリアにはこのような古い建物と広場があるところはあちこちにあるが、それらの中でも古い歴史を感じさせる。 昼食はまだだったので、少し遅めの昼食をとることにして街角のレストランに入った。注文し終えるとウェイトレスが「日本人ですか?」と日本語で声をかけてきた。まさか、こんな田舎の小さな村で日本語を聞くとは思ってもいなかったので驚いた。聞けば、お父さんがイタリア人、お母さんが日本人のハーフだという。若い女性で顔立ちはどちらかと言えばイタリア人に近い。いろいろ日本語で話をしていると、店の主人も他のウェイトレスもやってきて、珍しそうに日本語の会話に耳をそばだてるのであった。 支払いの段階でなぜか彼女が持ってきた伝票にはマイナス2ユーロと書かれていて15ユーロだった。彼女は話の中で「この店はディナーもおいしい」と勧めていたので、僕らがきっと夜も来てくれるだろうとおまけしてくれたのかもしれなかった(残念ながら夜はホテルのディナーを食べることにしていたので行かなかったが)。 夜。ホテルのディナーはルレ・エ・シャトーのホテルだけあって、アミューズからスパゲティ、メインコースの料理まで洗練されたとても上質な味が楽しめた。ローカルワインのモンテファルコの赤もいい香りに満ちていた。食べ終わる頃、なぜかレストランの厨房の衣服を着た若い日本人女性が僕ら |
村の広場。 小さな村だが、観光客が多い。 のテーブルに現れた。このホテルでパティシェとして働いているという。彼女と、イタリアのこと、イタリアで働くことになったわけなどいろいろ話をすることになった。 山奥と言ってもいい小さな村で、2人の日本人(正確には1人はハーフ)に出会うという驚きの1日であった 2016年8月、この村は大地震で崩壊した。二人の女性は無事だったことを、あとで知った。 |