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ナザレ(ポルトガル)
ナザレに着いたのは夕方だった。大西洋の荒波が打ち寄せる海岸で人々が三々五々散歩したり,黙って海を見つめていたりしていた。とても平和な風景に思えた。毎日こんな風景が繰り返されているのだろうと考えると,なぜか和やかな心地になった。

彼らと一緒になって,荒波と海を見ていると,数日前にリスボンの酒場で聞いたもの哀しい調べのファドが聞こえてくるような気がした。荒海に乗り出して帰ってこなかった男を,絞り出すような声でいとおしむ歌声を思い出したりした。

街角ではお年寄りたちがおしゃべりをするわけでもなく,固まって壁により掛かり,通行人たちを眺めていた。取り立てて何かをするわけでもなく,毎日こうして一緒に夕方の時間を過ごしているように見えた。

ヨーロッパの日没の時間は遅い。7時になろうとしていた時間だったが,まだ明るく,ここでは時間がゆったり流れていた。

あわただしい東京の雑踏の中で疲れた感じになると,時々このナザレの風景と波の音を思い出すことがある。

夕方のナザレの海岸


ナザレの街角で

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