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ナポリ(イタリア)
ローマに滞在していたある日,ナポリへ行ってみようと出かけた。もうすぐ昼だったので,ローマの駅で「駅弁」を買った。オレンジ,ワイン,パン,チーズ,ハム,チキン,ポテトチップス,ケーキなどが詰め合わせてあった。ところが,Mがホームでぶちまけてしまい,周りの人たちも転がっていくオレンジを追いかけてくれたりして,大騒ぎとなった。いかにもイタリア的な風景だと感じて楽しくなった。

乗り込んだ列車のコンパートメントでは,大学生と思われる鬚の男と同室になった。彼の姿は静かだった。風貌はまるでアリストテレスのようで,さすがイタリアと感心したのだった。

ナポリの駅からタクシーでサンタ・ルチアへ。運転手は「オーソレミオ」を歌ってくれたり,英語で盛んにガイドしてくれたり,再びさすがイタリアと感心していると,しっかりチップを要求された。

遠くにベスビオス火山が見え,4月の風は冷たかったが,明るい陽光で気持ちがよかった。列車の中で駅弁を食べてはいたが,せっかく来たのだから本場のパスタを食べようと卵城の近くの海辺のレストランに入った。

ウェイターは愛想がよく,ボンゴーレもエビのフライもおいしかった。食事をしていると,そのウェイターがまじめな顔でやって来てMに紙切れを渡した。何かが書いてあるメモのような感じだった。裏返してみるとそこには次のように,日本語が書いてあった。

「結婚してください。」

さすがイタリア。彼に返す気の利いた台詞がとっさに思い浮かばなかったのが,今でも残念でならない。

レストランからは卵城が目の前。

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