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マリーニャ・グランデ(ポルトガル) | |
はっきりした計画もなく,気が向くままに車で旅行していると,小さな町で泊まらざるを得なくなることもある。 この日は,すっかり日が落ちてしまい,たまたま着いたマリーニャ・グランデという小さな町で泊まらざるを得なくなった。小さな町だが広場や通りはイルミネーションで輝いていた。町の中央の広場で通りかかった若いカップルにホテルをたずねると,彼らはわざわざホテルまで私を案内してくれた。おまけに,部屋を見て気に入らなかったら別のホテルに案内するからと言って,彼らは玄関で待っていてくれた。選り好みしているような状況ではなかったので,このホテルに決めた。 この日はクリスマス・イヴだった。食事は用意できないと言われ,隣のレストランですませた。近くのテーブルの人たちのようにローカルのワインをカラフでもらいたいと頼んだが,ウェイトレスには全く通じなかった。カラフ,キャラフ,デカンタなどいろいろ並べてみたが |
彼女はきょとんとしているだけだった。挙げ句の果てに彼女はローカルワインをボトルで持ってきて,それをカラフに入れ直してくれたのだった。 ホテルに戻ると大人たちが広い部屋でパーティを開いている様子だった。4人の子どもたちがロビーでトランプをして遊んでいた。大人は大人,子どもは子どもというのが欧米流だ。子どもたちが遊んでいたのは坊主めくりのようなゲームだった。簡単そうだし,興味がわいたので,頼んでゲームに参加させてもらったが,ルールが分からず,早々に退散するしかなかった。部屋に戻ってみると,Mは調子が悪い部屋のドアノブを修理し,流れの悪い水洗トイレを調整している最中だった。修理が必要なホテルに着くと,Mはときどき職人さんのような腕前を発揮する。 あまり盛り上がることなどなかったクリスマス・イヴの思い出としてこの町は記憶に残ることになった。 |
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翌日のクリスマスの日,町はひっそりと静まりかえっていた。 |