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シャトーヌフ・デュ・パプ(フランス)
収穫が終わったブドウ畑が続く。強い風が吹いていた。この村はアヴィニヨンから近いところにあり,そのまま日本語に翻訳すると「教皇の新しい城」ということになる。強い風の中に立つと,気候はほとんどプロヴァンスと同じと言ってもいいように思えた。しかし,ワインの産地の分類では「コート・デュ・ローヌ」のワインに属する。濃い赤ワインで有名だ。小高い丘の上にある「城」は一部だけが残っているに過ぎないが,当時の壮大なシャトーをしのばせるのに十分なものだった。

あいにく目的のホテルは予約でいっぱいだった。仕方なく村のほぼ中央にあるLa Mere Germaine(Mereのはじめのeにはアクサンの記号がある)にチェックインした。かなり年月を経た建物のような印象だった。エレベーターはなく,3階の部屋まで急な階段を登り,旅行カバンを運び上げなければならなかった。50年ぐらい前の時代に入り込んだような感じがした。
部屋も少し古びた感じがした。しかし,こんなホテルでも,旅の中にいることを実感して私は幸せな気分になる。夕食は1Fのレストランに降りていった。古い時代のプロヴァンスのレストランはこんな感じだったのだろうと思わせるいい雰囲気で,身なりのいい村の人々でにぎわっていた。料理の中でも特にフォアグラのペンネが美味しかった。当然ワインは「シャトーヌフ・デュ・パプ」。いい香りと味のフルボディだった。

深夜から明け方まで,村の広場では一人の酔っぱらいが大声で叫んでいた。どんな不満があるのだろうと,彼が叫ぶ意味の分からないフランス語が浅い眠りの中で聞こえていた。

快適な思い出ばかりではないとしても,旅の楽しさに変わりはない。

壮大なシャトーの名残

ホテルから見た村の中央

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