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ブダペスト(ハンガリー)
現在でも呼び名は変わっていないのだろうか。ブダペストの市街地には,マルクス広場,エンゲルス広場,レーニン通りなど共産主義の象徴的な人の名前がついている場所が多かった。しかし,スロバキアからこの国にはいるともうほとんど西欧ではないかと感じられた。ショーウィンドウは明るく輝き,商品は豊富だった。バーやカフェではアメリカのミュージック・ソングが流れていた。

市街はドナウ川をはさんで大きくブダとペストの地域に分かれる。ブダの方は「王宮の丘」とも呼ばれ,ブダ王宮,マーチャーシュ教会,漁夫の砦など歴史的な建造物があるので,これらを見ないことにはブダペストは語れないと,地下鉄に乗って出かけた。ドナウ川にはいくつかの橋があるが,王宮の丘へ行くにはセーチェーニ鎖橋が最も便利だ。橋を渡りながら見るドナウ川はとても水量が豊かだった。
ブダ王宮やマーチャーシュ教会などを見学し,ヒルトンホテルでコーヒーを飲んだりしていると夕闇が訪れてきた。王宮の丘からペストの方を眺めると,ドナウ川の向こうにペスト地区がきらきら輝きだしていた。この街が「ドナウの真珠」と呼ばれるわけがわかった。

ホテルへ戻ろうと,ケーブルカーで下り,歩いて鎖橋を渡った。夜のドナウ川は黒い渦を巻くように流れていた。通行人はほとんどいなかったが,向こうから一人の男が歩いてきて,私の少し前を歩いていたMに突然抱きついた。ドナウの黒い流れにMが突き落とされるのではないかと驚きあわてて,とっさに「何をするんだ!」と私は英語で怒鳴った。単なる酔っぱらいだった。そんな時に英語で叫んでも無駄だということにその時はまったく気づかなかった。

ドナウ川と鎖橋,向こう側にペスト地区。

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