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バンコク(タイ)
バンコクへは何度も出かけた。10回を超えたあたりから,だんだん回数がはっきりしなくなってきた。「思い出に残る街」としてこの街のことを記録しようとすれば,それは間違いかもしれない。思い出は過去の出来事であり,このバンコクは,今後も何度も出かけることになるだろうと思うから,「将来思い出に残ることになるだろうと思われる街」と定義するのが正しいだろう。しかし,もしバンコクへ行かなくなった後でこの街のことを書こうとしたら,それはいつのことになるのか分からないので,中間的にメモしておこう。

バンコクはいつも暑い。寺院めぐりをしても街を歩いていても,汗が流れてくる。トゥクトゥクやタクシーに乗ると,料金をふっかけられることはたびたびだし,シーロム通りなどでは偽のオフィサーのような者が宝石売り場に連れて行こうと近づいてきたりする。ジム・トンプソンの家は好きな場所なので,何度か出かけたが,近づいて行くとすれ違う男が「ジム・トンプソンはきょうは休みだよ」とささやくように声をかけてきたりする。街を歩くときは油断できない。

初めてジム・トンプソンの家に行ったときはそのことばを信用して,暑い中で早めに情報を得たおかげで無駄足を運ばなくてよかったと引き返した。2度目もこのような別の男と出会って半信半疑に思った。せっかく来たのだから外観だけでも見ようと行ってみると,オープンしていた。単なるいたずらに過ぎないのだろうか,それともジム・トンプソンに対して何らかの恨みでもあるのだろうか。この謎はいまだに解けない。この街にはこのように人をだまそうとする人がいたりして,どこか謎めいていることも私にはおもしろくて仕方がない。

この街への旅を繰り返して10年以上になるが,この間に街はずいぶん変わった。スカイトレインや地下鉄ができた。ボロ自動車が目立たなくなり,走っている車がずいぶんきれいになった。人々の服装が以前よりおしゃれになった。ちょうど日本の高度成長の時期を見ているような感じがする。

ジム・トンプソンの家。


トゥクトゥクが走り回る風景は変わらない

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