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Progyvers (Sart-St-Laurent, Belgium)
緑が深いアルデンヌ地方に行ってみようとフランスのランスからベルギーに入り、デュルビュイに着いた。たまには早めにホテルにチェックインしてゆったりしようと思ったが、古城のあるこの街はベルギーでは観光スポットのひとつで人出が多かった。数軒のホテルに当たってみたが、どこも満室だった。

仕方なく、ホテルを探しながら走ったが、どこも休業したり廃業したりしていて見つからない。ヨーロッパでこんな事態になったのは初めてなので焦った。車内には不機嫌なムードが充満し始めていた。こんな時は黙って先へ先へと進むしかない。結局、4時間ぐらい走った後、やっと田舎のSart-St-Laurentという村でこのホテルにチェックインすることができた。早めにゆったりどころか、夜の9時になっていた。

泊まり客は誰もいない様子だった。ヨーロッパといえども少し夜が遅かったので食事ができるかどうかが心配だった。まずそのことを尋ねると主人はにっこりうなずいた。なにはともあれ、よかった。
さっそく食事をすることにした。メニューをもらって料理の種類の多さに驚いた。泊まり客はわれわれだけなのに、それでもこんなにも多くの種類の料理ができるのかと半信半疑でならなかった。しかし、サーモンのカルパッチョ、鴨のコンフィ、ポークのグリル、野菜サラダなど、注文したものはすべて出てきた。当然ベルギーのビールで始まり、グラーブの赤をもらうと、しっかりしたレストランでのディナーと変わらない食事になった。厨房では主人と二人のおばさんが働いている様子で、われわれが食事をしている間、にぎやかなおしゃべりが聞こえていた。

翌朝は深いガスに包まれていた。ウィンドウウォッシャー液がなくなっていたので、Mがフランス語で「水がほしい」と車のワイパーを指さして主人にたのむと、主人は水ではなくウインドウウォッシャー液を持ってきてくれたのだった。

ホテル探しでさんざん苦労した末にやっとたどり着いたホテルとして、このホテルは記憶に新しい。

旅の苦労も、旅の楽しみ。  

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