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世界第一級の風景(3)――ピアーノ・グランデ
 
 とても1枚の写真には収まらない。この写真の右と左にも花畑が広がる。
イタリア。この日はマルケ州のアスコリ・ピチェノから西へ走り、ウンブリア州のカステルッチョに向かった。カステルッチョにはこの旅の目的地のひとつであるピアーノ・グランデ(大平原)がある。ウンブリア州とマルケ州にまたがるこの一帯はシビッリーニ山系国立自然公園になっており、この大平原はイタリアでももっとも美しい風景のひとつと言われている。

州境には標高2476mのヴェットーレ山の巨大な山塊がそびえている。その脇の峠を越えると、一面の大平原が現れた。その広さと花畑の美しさには息を飲んだ。大平原は四方を山に囲まれていて、標高は約1500m、広さは約1300haもあるという。そして、6月中旬から7月上旬にかけて、大平原はレンズ豆の
黄色をはじめ芥子の赤のほか紫や青などさまざまな色の野の花で埋めつくされるという。訪れたのはちょうど6月下旬だったので見事な花畑を目の当たりにすることができた。車を止めて、長い間見とれないわけにはいかなかった。たいていのことには驚かないM は言葉を発しなかった。

この日は日曜日だったためか、車やバイクがとても多く、この大平原の北側、小高い丘にある小さなカステルッチョの町は大渋滞だった。そこで昼食を取ろうと考えていたが、あきらめざるを得なかった。お花畑を眼下に眺めながらの優雅な昼食はかなわなかったが、この風景にはとても言葉では言い表せない素晴らしさがあった。

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