旅の記憶 記憶の旅

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北への旅
ヨーロッパでフランス・イタリアなど南の国々を走り回るのは快適だ。特に温暖なコートダジュールなどは、冬でも寒いと感じることはない。だから、ヨーロッパをドライブする場合はシャルル・ド・ゴールやフランクフルト・マインから南へ向かうことが多い。

しかし、時には北へ向かいたくなることもある。このときはシャルル・ド・ゴールから北へ向かって走った。シャンパーニュ地方を通り、ベルギーを抜けてオランダに入った。オランダに入ると、とたんに空気は冷たくなった。この日は空はどんより曇っていて肌寒く、5月というのに日本の冬のように感じられた。以前、列車で来たときはチューリップ畑が鮮やかだったので、とてもその時と同じ季節には思えなかった。

北海にたどり着くと鉛色の海は寒々としていた。車から降りると風は身を切るように冷たかった。オランダ名物の風車などはどこにもなく、風力発電の風車が並んでいるだけだった。北海を見ながら砂浜をゆっくり散歩して、ヨーロッパの北の旅をしみじみ味わいたいと思っていた夢は、現実の寒さの前にしぼんでしまった。オランダを走り回る計画を変更して、南へと進路を変えたのだった。

この時の北への旅は、厳しい自然が待っていた。

あまりの寒さに、そそくさと記念写真を1枚だけ撮って北海を後にした。

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