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イタリア人の知恵
ヨーロッパから帰国するときはイタリアから出国することが多いので、ミラノからマルペンサ空港への高速道路はよく通る。数年前のことだ。これまで片側3車線だった道路が4車線になっていた。道路の幅は同じで、ラインを引き直して3車線のレーンを4車線に変更したのだった。柔軟な発想だと感心した。交通量の増加による渋滞を解消し、車の流れをよくするためのアイディアなのだろう。さすがイタリア。

しかし、車線の幅が狭く、窮屈で走りにくい。隣のレーンの車と接触しそうな幅の狭さだ。周囲を見回すと、かすかに残った古い3車線のレーンに従って3列で走っている車もあるように見えた。「確かにそうだよね、これじゃ狭すぎるよね」と私も感じた。

翌年、また同じ道路をマルペンサ空港に向かうと、この4車線は昔の3車線に戻っていた。やっぱり走りやすい。評判がよくなかったので、きっとまた元に戻したのだろう。イタリアの柔軟な態度にまたまた感心した。そして「朝令暮改」という言葉が思い浮かんだ。

「朝令暮改」は広辞苑によれば「命令や方針がたえず改められてあてにならないこと」となり、ふだんは悪い意味に使われる。しかし、このイタリアのように「やってみたけど、だめだった」というような場合は、すぐ改めるということで、いい意味で使ってもいいのではないかと思ったのだった。

窮屈で走りにくい4車線

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