contents

トップページ
ヨーロッパ速度無制限
貿易風に吹かれて
アジアの優雅な日々
トラベルはトラブル
世界はうまい
ホテルいろいろ
やっぱりNY
思い出に残る街
今日も大空へ
旅のアラカルト
旅のおみやげ
対向車はすぐやってくる
車でヨーロッパを走り回るようになった初期のころだった。この日はフランクフルトからミュンヘンへ向かって一般道路の国道を走っていた。片側1車線。前に7台ほどのトラックや乗用車が連なっていて,その集団に追いつき,その後ろを走っていた。スピードは100kmぐらいで何とかこの集団を追い越して前に出たかった。

対向車線には遙か遠くまで車がなかった。日本の感覚では十分すぎる距離で,私はギアを一段下に下げて追い越しをしようと決めた。

追い越しのために,反対側の車線に出ると,意外にも遙か遠くに見えた対向車線の車が驚くほどの短時間で接近してきた。たぶん向こうは130kmぐらいのスピードなのだろうと思う。あっという間の事態の急変で,仕方なく団子状態の元の車線に戻るしかなかった。

こちらへ接近して来る車はヘッドライトをビカビカと点滅させて,通過するときには運転者も同乗者もこちらへ向かって激しく非難の拳を突き出していた。

恥ずかしかった。そして,このとき初めてヨーロッパの車の一般的なスピードを体で認識したのだった。

対向車は遙か遠くに見えても,あっという間にやってくる。

遠くに見えても対向車はあっという間にやってくる(イタリア,ヴォルテッラ付近)。

前ページへ>