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イタリアで道をたずねる
この日はイタリアで手に入れたリーフレット『ヨーロッパの若きシェフたち』に掲載されているホテル「イル・カッシナーレヌオヴォ」に行こうとしていた。このホテルはアスティの近くの小さな村にある。いつも持ち歩いているミシュランの地図は100万分の1の縮尺なので,細かい場所までは分からない。この地図のほかにリーフレットの略図もあったが,田舎の場合は住居表示などがないので,いつも苦労する。

何度か道をたずね,やっとホテルのある村に着いた。しかし,どこにホテルがあるのか全く分からない。道ばたでおじいさんと高校生ぐらいの少年が立ち話をしていたので,彼らにホテルの場所をたずねた。イタリア語はほとんど理解できないが,私の問いかけに対する彼らの対応はこんな感じだった。

「おまえが道案内してあげな」とおじいさん。
「うん,じゃあバイクをとってくる」
この様子を窓から眺めていたおばあさんが「バイクに乗るんだったら,ヘルメットを忘れちゃダメよー」
「うん,わかってる」と少年は答えて走って行った。

やがて,少年がヘルメットをかぶってバイクで現れた。畑の中の細い道を転びそうになりながら右に左に走る彼のバイクについて行ってやっとホテルにたどり着いた。
イタリアでは,このほかにもあちこちで道をたずねた。その都度,車で先導してもらったり,わざわざ歩いて連れて行ってもらったり,何度お世話になったか数え切れない。ヨーロッパの中でも特にイタリアではこのような経験が非常に多い。イタリア人は道を教えるのが世界一好きな国民ではないかと思う。私がイタリアを好きな理由は,料理のおいしさだけではなく,案外このようなイタリア人たちのせいかもしれない。


少年のおかげでやっとたどり着いた。

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