旅の記憶 記憶の旅

contents

トップページ
ヨーロッパ速度無制限
貿易風に吹かれて
アジアの優雅な日々
トラベルはトラブル
世界はうまい
ホテルいろいろ
やっぱりNY
思い出に残る街
今日も大空へ
旅のアラカルト
旅のおみやげ
道草
このときは北イタリアのワインの名産地バローロ村でワイン資料館などを見たあと、南に向かっていた。あいにく雨が降ったり止んだりの天候で、出合う車はほとんどなかった。田舎道をのんびり走るのも楽しい。

別に先を急ぐ旅ではなかったので、休憩を兼ねて途中で車を止め、道ばたのラベンダーの香りやバローロ村の大地のにおいを嗅いだりした。車から降りてスピードから解放されると、ゆったりする。小学生だった頃、横道にそれたり、畑や田んぼの中を通ったりしながら、家に帰ったことを思い出したりした。
同時に、「道草を食う」という言葉も思い浮かんだ。
「道草」とは、「馬が路傍の草を食って進行が遅くなる」(『広辞苑』)というのがもともとの意味で、「途中で暇を費やす」とか「横道にそれて手間取る」など意味があるが、先を急がないということは、精神衛生上からもとてもいいように思えて、満たされた気分になった。馬の気持ちが分かるような気もした。道草を食うことは、馬もきっと同じようにいい気分なのに違いないと思えたのだった。

私の場合、こんな時にもヨーロッパを車で走り回る楽しさが味わえるように思えるのだ。

バローロ村で

前ページへ>