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ノイシュバンシュタイン城
名所旧跡をめぐる旅はそれほど好きではない。しかし,ここだけはどうしても行ってみたいとかねてから思っていたので,アルペンルートを走り,フュッセンからやっとたどり着いた。

激しい雨と稲妻の中でこの城をめざして山の中を走っていると,なぜか胸騒ぎがするような不安な気分になったりした。雲が垂れ込め,小降りになった天候の中で,やがて,ノイシュバンシュタイン城は神秘的ともいえる姿を現したのだった。映画で観たルートヴィッヒ2世とこの城のことを思い出しながら城を間近に見上げると,中世の幽玄の世界に誘われるような感じがした。

時折強い雨が降り,雲行きは怪しかったが,城の周辺にはバスでやって来た日本人の観光客が多く,びっくりした。こんな田舎の奥まで熱心に旅をする民族はほかにいないのではないかとさえ思えた。城へ上る道でも周辺の土産物店でも,日本語が飛び交っていた。

ドイツにいるのではなく,まるで日本の観光地に来たような感じがした。そこで城から少し遠く離れ,日本語が聞こえない場所へ移動して眺めることにした。天候は相変わらず降ったり止んだりだったが,このような荒れた天候の中で見るのが,なぜかこの城にはふさわしいような気がして,しばし見とれたのだった。

少し離れると城の静かな姿が眺められた。

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