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ビール抜きのタイシャブ
バンコクに滞在するときは,せっかくタイに来たのだから一度はタイシャブを食べようと街へ出かける。タイ料理は辛さと甘さが奇妙なバランスの独特の味で,食事をしているとタイにいることを実感する。ホテルにもタイ料理のレストランがあるが,街で食べる大衆的なタイシャブも好きだ。

ある年のこと,いつものようにタイシャブのレストランで,魚介類や肉類,野菜類などをいろいろ注文した後で,ハイネケンを頼んだ。しかし,ウェイトレスは「ノー・ビール,ノー・アルコール」と繰り返すだけで,一向に要領を得ない返事が返ってくるだけだった。彼女たちはこれ以上の英語は話さないので,さっぱり分からない。「この店はアルコール類を出すのをやめたのかもしれないね」とMと話し,スプライトをもらって渋々タイシャブを食べることにした。ビールがなくても,タイシャブはおいしかったし,それなりに満足したが。しかし,暑い国で熱いタイシャブにビール抜きなど考えられない。Mは怒りに震えながらタイシャブを突っついていた。

ホテルに戻ると,部屋には支配人からのメッセージが届いていた。今日の午後6時から明日の24時まで,タイでは下院議員の総選挙があるのでアルコール類の販売が禁止されているという内容だった。タイシャブのレストランでビールが出なかったわけが分かった。しかし,なぜ選挙だから酒を出さないのか,その理由は書かれていなかったので分からな

ひとつひとつの皿はそれほど大きくはないので,いろいろな素材が楽しめるのがよい。



かった。部屋のミニバーのスコッチを飲んで,不満を解消するしかなかった。

イスラム教の国ではホテル以外では酒が飲めないということは知っていたが,タイでこのようなひどい目に遭うとは思いもよらなかった。今でもタイシャブのことを思い出すたびに,この日のことを思い出す。この時の「恨み」は忘れられない。ビール抜きのタイシャブなんて,ワイン抜きのイタリアンやフレンチと同じで,これは言語道断というしかない。

タイに行くときは,総選挙がないかどうかを確かめる必要がある。

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