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サラダ・ニソワーズ
このときはマルセイユからニースに向かって、地中海沿いに車を走らせていた。

道路のわきからすぐ砂浜になっているル・ヴァンドゥの付近で、小さなレストランがぽつんと建っていた。道路の右側には地中海が目の前に広がり、左側は松林が広がっていた。とても気持ちよさそうな雰囲気だったので、少し遅い昼食をとることにした。店内だけでなく、テーブルは外にも地中海に面して2つ出ていた。ひとつが空いていたので、そのテーブルを頼んだ。

1月なのに、コートダジュールは温暖で、気持ちのいい午後の日射しが降り注いでいた。私たちは迷わずサラダ・ニソワーズとオムレット・ジャンボン・エ・フロマージュなどを頼んだ。教科書通りで量がたっぷりのサラダ・ニソワーズが出てきて、オリーブオイルとレモン、ペパー、塩などの加減が、さすが本場と思わせるとてもおいしいサラダで大満足だった。

アウトドアで食べる食事のおいしさ、本場のサラダ・ニソワーズのおいしさ、地中海を目の前にしたいい気分のおいしさ、とおいしさが重なったいい昼食だった。「おいしい」と「うまい」とはほとんど同義だが、微妙なニュアンスの違いがある。このときの昼食は、「うまかった」ではなく、文句なく「おいしかった」のほうだった。

家に戻ってから、何度もこの味に挑戦しているのだが、このときのおいしさにはかなわない。

午後の柔らかい日射しがサラダ・ニソワーズにも降り注ぎ、気持ちのいい昼食となった。

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