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ジプシー音楽のレストラン | |
ブダペスト。ブダの丘で王宮やマーチャーシュ教会を見たあと,ホテルへ帰る途中,共和国通りに面したレストランの中からジプシー音楽が聞こえてきた。ちょうど夕食の時間でレストランを探していたので,ヴァイオリンの調べに誘われるように中に入った。大衆的な雰囲気の店で観光客らしい姿は見あたらず,地元の人たちでにぎわっていた。 それほど空腹ではなかったので,ウィンナーシュニッツェルとスープ,サラダ,コーヒーですませることにした。ワインは「雄牛の血」と呼ばれるハンガリーの有名な赤ワインで,濃厚で深みがあり,とても力強い。 食事をしながらジプシー音楽に耳を傾けた。バンドの編成は4人。ツィンバロムというハンガリー独特の楽器とベース,ヴァイオリンなどがすすり泣くような特有 |
の調べを奏でる。私たちのテーブルは彼らの目の前だった。 やがて,彫りの深い顔立ちをしたヴァイオリンの男が私たちのテーブルにやって来て,Mの耳元で「黒い瞳」を弾きはじめた。もう,こうなると食事を味わうよりも,ヴァイオリンに耳を傾けるほうが中心になる。ヴァイオリンは胸をかきむしるように響いた。 さて,この後バンドの4人は軽く目配せをして,驚いたことに日本の「さくら」を演奏し始めたのだった。彼らにチップをはずまないわけにはいかなかった。ブダペストで聞いたこの時のジプシー音楽は,記憶の奥底にしっかり刻まれて,今でも鮮やかによみがえってくる。 |
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