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イカスミのパスタの本当のおいしさを知ったのはこのレストランだ。この店はNYマンハッタンの55th.St.にあったが,今はない。いや,この名前の店自体はあるのだが,代替わりして味が変わった。

初めて行ったのは大晦日も近いある年の年末だった。軽い昼の食事をしようと55th.St.を歩いていると,ニューヨーカーたちで混み合っている店があった。こういうレストランは見逃すわけにはいかない。入り口は簡素でおしゃれだ。間口は狭いのだが,このようなNYのレストランは奥行きがあり,意外にテーブルの数が多い。

この店のシェフはイタリア人のように見えた。味で勝負してこれからNYで成功しようという意気込みのようなものが感じられる店で,活気があった。何を注文しようか迷い,隣の席のキャリアウーマンたちがイカスミのパスタを食べていたので,これはきっとおいしいと直感した。直感は当たった。とにかくこのときのイカスミのリンギーニはおいしかった。あまりのおいしさに,翌日もまた出かけて行ったほどだ。

すっかり気に入ったので日本でも何度かイカスミのパスタを食べた。しかし,いまだにこの味ほどいい味

店の入り口で。
に出合ったことはない。その味には歴然とした大きな差があるといつも感じる。

翌年NYに行った時もこの店に直行した。しかし,店の名前も構えも同じだったが,内装が変わっていた。オーナーもシェフも変わっている様子だった。イカスミのパスタの味は全く別物だった。NYは変化が速い。あのオーナーやシェフは,どこかであのすばらしいイカスミのパスタを出しているのだろうか。もう食べることができないと思うと,無性にあの味が恋しいのだ。

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