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シャンパンとキャビア
シャンパンとキャビア。東欧ならリーズナブルな料金で食べられるのではないか,という漠然とした思いがあった。そこで,ベオグラードのホテル・モスクワに泊まった時に,ホテルのレストランで頼んでみることにした。このホテルはベオグラードでも高級なホテルのひとつなので,はたして「リーズナブル」となるかどうかは気になった。

太って腹が突き出た中年のウェイターは気さくな感じだった。ズボンのベルトをたくし上げながら私たちの席にやって来た。彼にキャビアとシャンパンを注文したいと頼むと,「はいよ!」といった感じで戻っていった。間もなく,彼は2本のシャンパンを両手に持って「どっちにする?」と現れた。無造作に彼が示したボトルはドン・ペリニョンとクリュグだった。「高そうだ」と私が思わずつぶやくと,彼はまた気さくな態度で引き返し,「これでどう?」とモエ・エ・シャンドンを持ってきた。迷わずそれに決めた。

キャビアは小鉢のような器に山盛りになって出てきた。スプーンですくって豪快に食べるのは初めての経験だった。シャンパンとキャビアという組み合わせのすばらしい味をこのときしっかり記憶することになった。

料金はリーズナブルだった。キャビアをこれほどいっぱい食べたのは,後にも先にもこのときしかない。

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