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小鳥がやってくる朝食
いつも滞在するアングイラのヴィラでは朝食をベランダまで運んでくれる。やや太めの黒人のメイドさんがトレイに朝食を乗せてやってくる。そして,のりのきいた真っ白いテーブルクロスを広げ,そこに朝食をセットしてくれる。前の晩に頼んでおいたパンとジュース,コーヒー,果物だけのシンプルな朝食だが,マンゴーやメロン,スイカなどの果物がみずみずしい。

カリブ海の波の音と貿易風の風の音,まぶしすぎる朝の光の中で朝食を始めると,ジャムや蜂蜜を見つけて(あるいは嗅ぎつけて?),黄色い小さな鳥がテーブルのすぐ近くまでやってくる。カリブ海ではよく見かけるハミングバードで,歌に歌われている「イエロー・バード」はこの小鳥たちではないかと思う。テーブルの脇のベランダの手すりの上に小さなジャムや蜂蜜の小瓶を置いておくと,次々とやってきてはついばんでいる。時々小瓶を手すりから地面に落としてしまってあわてたりしながら。観察していると,どうも彼らはジャムよりは蜂蜜のほうが好物らしい。

世界のあちこちで,いろいろなシチュエーションで朝食をとり,それらの旅の食事はどれもおいしいが,このカリブ海の朝食は気持ちのよさでは群れを抜いている。ヘミングウエイもキューバの海のそばで,あるいはこんな気持ちのいい朝食をとっていたのかもしれないと漠然と思いながら,小鳥たちのほうへ目をやると,満腹になったのか全員姿を消しているのであった。

あとは波の音と風の音だけ。

この日は朝にわか雨が降ったため,メイドは雨のあたらないところへテーブルを寄せて朝食をセットしてくれた。


とても小さく,いつも忙しそうだ。

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