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カリブ海の夏。セントマーティンのラ・ベル・クレオールに滞在したことがあった。サンファンからオランダ領のセントマーテンに着き,そこからタクシーでフランス領のセントマーティンに入る。地図には国境線があるが,タクシーから見る限り,境界のようなものは何もない。

ホテルは客室がそれぞれ4室,6室,8室などが集合したヴィラとして建ち並び,その路地にはフランス風の住居表示があって,まるでフランスの小さな町のような感じだった。部屋は広々としていたが,少し古くなった感じがした。

ディナーはホテルのレストランで食べた。ホテルの名前からするとクレオール料理ということになるのかどうか分からないが,スペイン,フランス,イタリアなどの味に近い感じがした。フランス領だから料理はおいしいだろうと期待したが,どの料理もボリュームたっぷりで,味はいまいちだった。

ディナーの後,バーで飲んだ。オープンエアーの建物で壁や窓はなく,気持ちのいい貿易風が吹き抜けていた。カウンターで客のイタリア人たちと話をしながら飲んだ。彼らも私もたどたどしい英語力で互角の感じだった。しかし,彼らは全く日本語を話さず,私は「プレーゴ」「スクージ」などイタリア語の単語を少し話したから,語学力は私の勝ちだった。わいわい話している間も,やや強めの貿易風はとぎれることはなかった。

このホテルはその後閉鎖してしまったようで,Webで探しても見あたらない。しかし,風が吹き抜けたこの気持ちのいいバーが,私の記憶の中で閉鎖されることはないだろう。

かつてのラ・ベル・クレオール

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