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ワット・アルン(暁の寺)
バンコクへの旅が多くなってきたが、市内の寺院などははじめのころに見て歩いたので、また出かけようという気は起こらず、チャオプラヤ川に面したホテルのプールで1日を過ごすことが多い。特に日本が冬の季節には、連日30度を超えるプールサイドで本を読んだり、iPodを聴いたり、ビールを飲んだりしていると、天国のように思える。

そんなある日、ワット・アルンに行ってみようと思い立って出かけた。この寺院だけはまだ行ったことがなく、「暁の寺」というロマンチックな響きやまだ読んではいないのだが三島由紀夫の小説のタイトルにもなっているため、気になっていた。かつてアユタヤからのクルーズでその脇を通ったことはあるのだが、あまりよく覚えていない。

ボートを乗り継ぎ、寺院に到着すると、天に向かってそびえるようなその姿に圧倒された。寺院の中ほどまで急勾配の石段があり、手すりにしがみつくようにして登った。かつて、ローテンブルクで旧市街を囲む城壁の中の塔に登ったことがあり、とても急な階段だったという記憶があるが、それとは比較にならないような急な石段だった。手すりがなかったら怖くてとても登れないだろう。石段を下るときはもっと怖かった。地面が真下に見えた。踏み外したら一巻の終わりだろうと思うだけで、足がすくんでしまいそうだった。下に降りたときは安堵のため息が出た。

この日から3日ほどは、大腿部の筋肉が痛くて仕方がなかった。ふだん使わない筋肉をフルに使ったのだろう。私たちはあまり名所を訪ね歩いたりするのは好きではないのだが、この日ばかりは「観光」の楽しさを味わったのであった。



手すりなしでは上り下りは不可能だ。

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