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2016年の年末はいつものようにバンコクに滞在して新年を迎えた。この年の10月にプミポン国王が88歳で亡くなって、タイではすべての公務員などは1年間喪に服すことになり、一般国民は適切な行動をとるようにという指示が出されていたことは知っていた。

いつもの年だと、バンコク市街の中心部にあるセントラル・ワールドの広場では、年末にはビール会社のイベントが開催されていて、舞台ではバンドの演奏、それを取り囲むようにビアホールがオープンしてにぎわいを見せるのだが、この年はなかった。

チャオプラヤ川では新年を迎える際にカウントダウンがあり、川岸に集まった人々が一斉に唱和して、0:00には盛大な花火が上がるのだが、この年はなかった。わずかにオリエンタルホテルの前の川の中央に赤い炎を灯した小舟が浮かんでいただけだった。

空港から中心街へ向かう高速道路の脇の大きな広告塔は真っ黒で白い文字だけのものがあったり、街路には横断幕を束ねたような白と黒の幕が飾られているところもあった。街では黒い衣服を着たり、小さな黒いリボンを胸元や半袖シャツの袖に付けたりしている人が少なくなかった。この黒いリボンの姿はホテルや空港のスタッフにも多く見かけられた。

タイの人々のプミポン国王に対する敬愛の念の大きさは、ぼくの想像をはるかに超えていることを実感したこの時のタイ旅行だった。

いつもは華やかな飾りつけだが、この時は国王の肖像画だけだった。



街では黒い服の人々が少なくなかった。

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