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オリエンタルホテルのディナーに叶姉妹がやってきた
バンコクに滞在しているときは,1回はオリエンタルホテルのフレンチレストラン「ノルマンディー」で食べるのが習慣になった。2度目に行ったときだった。ウエイターたちが前回の僕らのことを覚えていただけでなく,そのときに座った席まで覚えているのには驚いた。Mはこれにすっかり気をよくして,それ以来私たちは常連になってしまった。

何度目のことだったかはっきり覚えていないが,私たちが食事をしていると叶姉妹がやってきた。花魁が登場するときのような風景だった。姉妹がそれぞれ若い男に手を取られて,スリットが大きすぎる衣装をひらひらさせながら入ってきた。

彼女たちのことを私はあまり知らないが,Mはすかさず発見して私に知らせた。「叶姉妹よ!」。彼女たちはすぐ私たちのテーブルのそばに座ったのだが,間には鉢植えの植物が茂っていてあまりよく見えない。
エスコート役の男たちは,ヨーロッパ系の若い男で,タキシードに身を包んではいるが教養がなく,非常に緊張しているように見えた。

フレッシュフォアグラのソテーはおいしかったが,この夜の食事がいまひとつ満足感に欠けたような気がするのは,彼女たちの存在のためだったような気がする。それは彼女たちの責任ではなく,もちろんノルマンディーの責任でもない。人は自由だ。どこに行こうとかまわない。どんな生き方をしようとその人の責任において自由だ。しかし,このホテルのレストランは味もサービスもワインのストックもアジアではもっとも質が高いと思っていたのだが,この日のディナーは気分がぶちこわされたような気がしてならなかった。

だけど,叶姉妹の近くの席で食事ができたことを喜ぶべきなのかな?

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