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バンブー・バー
バンコク。オリエンタルホテルに「バンブー・バー」という名のバーがある。ル・ノルマンディーでのディナーの後には予約を入れてもらって立ち寄るし、わざわざペニンシュラからこのバーに飲みに行くこともあるから、何度行ったかは数え切れない。

少し遅い時間になるとジャズのライブが始まる。いつもピアノ、ベース、ドラムス、テナーサックスのカルテットに女性ヴォーカルが加わる。なぜかこのバーに入ると空気が濃密な感じがする。サックスの響きのせいだろうか、それとも黒人女性のヴォーカルのせいだろうか。それともたばこや葉巻のにおいのためだろうか。

ニューヨークのライブハウスなどでは、客はまじめにジャズに耳を傾けるが、このバーでは会話や食器の触れあう音の中にジャズがある。スタンゲッツのパリのジャズクラブでのライブ録音などから想像する雰囲気と似ているような気がする。このバーで聴くジャズはリラックスした気分でくつろげる。

ペニンシュラホテルのシンプルなバーも悪くはないが、アジアの濃密な空気の中でジャズが響くこのバーが、私にとってはバンコクでもっとも好きなバーということになるだろう。ジャズの後、ペニンシュラの最終のボートに乗ってチャオプラヤを渡るときの川風も実に気持ちがいい。

夜が更けるに従って、店内は混んでくる。

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