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雲助運転手
バンコクのタクシーは要注意だ。地理不案内の客に法外な運賃を要求したりする不良運転手にときどき出くわす。このときは、メトロポリタンホテルに滞在していた。オリエンタルホテル「ル・ノルマンディー」でのディナーに出かけようとして、ベルボーイにタクシーを呼んでもらった。ベルボーイはタクシーのナンバーを控えたカードを僕に渡してくれた。何か問題が発生したときの手がかりということだろう。

乗り込んだ瞬間、人相のよくない男だと思った。要注意という警戒警報が頭の中で鳴った。案の定、男はメーターを倒さずにスタートした。オリエンタルホテルまではせいぜい60バーツぐらいなのだが、タイ語のほかに料金だけは変な英語で「160バーツ」とふっかけてきた。予想していたことだったので、身を乗り出して「高すぎる。メーターを倒せ」と叫ぶと、「100バーツ」などと値引きをしてくる。こんなときはおとなしくしていると負けるので、押し問答を繰り返す。なぜか英語で怒鳴ってしまったが、英語を理解しないのだから日本語で叫んでも同じだったろう。らちがあかないので「メーターの料金とチップを払う。メーターを倒せ」と叫ぶと、「チップ」という言葉に反応した様子だった。卑屈な笑いを浮かべて分かったという態度に変わり、メーターを倒した。

乱暴な運転だった。この夜のバンコク市内はひどい渋滞で予約した時刻に遅れそうだったが、裏道を抜け、

バンコクでは大渋滞は珍しくない。



割り込みを繰り返すこの男の乱暴な運転のおかげで少し遅れただけで、オリエンタルホテルに到着した。30分ぐらいは遅れるかも知れないと思ったが、10分遅れただけだった。ほっとして少しありがたい気もしたのだった。

すべてのタクシー運転手がそうだとは言えないが、バンコクでは雲助運転手が多いことは確かだ。

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