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「ナイトホーク (Nighthawks)」
シカゴ美術館にあるこの絵はホッパーの代表作のひとつだ。Mはこの絵がホッパーの中ではもっとも好きだという。この絵の前に来ると、Mがかなりの時間見つめているのはいつものことだ。

私はホッパーの作品の中では「レイルロード・サンセット(Railroad Sunset)」ほうが好きだが、この「ナイトホーク」の場合は、描かれている4人をじっと観察してあれこれ想像するのが嫌いではない。この絵に描かれている4人がどこを見ているのだろうと私はいつも気になる。見ているところが全部違うように見えるし、おそらく誰もが無言のままで会話は交わされてはいないのだろう。いったいこれは夜の何時ごろの場面なのだろ
う。背を向けている男はなぜひとりなのだろう。向こうの男女はどういう間柄なのだろう。Mがいつまでも動こうとしないので、私は絵の中の4人にMを加えた5人の視線の交錯を後ろから楽しんだりしてしまう。

外国の美術館の場合、フラッシュを使わなければ写真撮影は自由というところが多い。そんなこともあって、日本の美術館のように改まった気分で作品と向かい合うというよりも、割とふだんの気分のままこのような名作と向き合うことができるのがいい。このシカゴ美術館には好きな絵が多いし、この絵も見たいので、ぜひまた行きたいものだ。

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