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カトラリーを買いにクチポールへ。
この時のポルトガル旅行の目的の一つは有名なクチポールのカトラリーを買いに行くことだった。クチポールは高級なレストランなどで使われていて有名だ。日本でも買えるのだが、ポルトガルの工場にはショールームがあってそこに行けばいろいろ見たうえで選んで買えるだろうと、Mは密かに作戦を立てていたのであった。

工場はギマランイシュいう片田舎にあり、だいたいの場所は調べてあったのだが、詳細な地図を持たない我々にはたどり着くのがとても難しかった。近くの町まで来ているのはわかるのだが、どこにあるのか何度も尋ねたがわからない。困った。そこで印刷したグーグルの地図を振りかざして、こちらに向かってくる車に手を振った。運転していたおじさんは、案内するから後ろをついてきなさいという感じで道案内をしてくれたのだった。

クチポールの工場は通り過ぎてきた道沿いにあった。工場を包み隠すように木々が茂っていたため、気づかずに通り過ぎてきたのだった。ひと気のないショールームに入って行くと、ちょうどショールームのお姉さんがランチを食べに出かけるところで、玄関に鍵をかけようとしていた。

無理な頼みを彼女は聞いてくれ、中へ入れてもらった。ひっそりとした感じでカトラリーが並んでいた。それらのカトラリーは熟練の職人による手作りだそうで、洗練されたデザインは北欧の食器と相性が抜群と言われる。特にその中のゴアシリーズは手持ちの部分がブラックで、軽くてよく切れ、使いやすいのが特徴だ。あれこれ迷った末にこのゴアシリーズを買い求めて、Mは「やったー」と大満足の様子であった。

だけど、この大満足もあのおじさんのおかげだった。彼がいなかったら絶対にたどりつけなかった。僕らの旅はこのように道案内をしてくれる人の出現によって助けられることが少なくない。


美しいとしか言いようがない。


これでは見過ごしてしまう。

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