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移動祝祭日
ニューヨークではいろいろなパレードに出合うことが多い。このときマンハッタンで出合ったのはキューバの人たちのパレードだった。詳しい情報など何も持ち合わせていなかったので分からなかったが、ニューヨークあるいはアメリカに住んでいるキューバ出身者たちのパレードらしかった。

キューバの祝祭日なのかどうか、何も分からなかったが、大きなトラックが連なり、その特設舞台で音楽をかき鳴らしながら進むにぎやかなパレードで、しばらく見とれていた。アメリカとキューバの関係を考えると、このパレードはいささか奇妙な感じもしたが、政
治と祭りは別だということかもしれない。

パレードの主役は美女たちだ。出発を待っている彼女たちにカメラを向けると、みんなでポーズをとってくれた。「何のパレードなの?」と聞いてみたかったが、恥ずかしくて聞けなかった。

ヘミングウェイが『パリの回想記』の中でパリのことを「移動祝祭日」と呼んだことを思い起こし、私にとってはニューヨークこそ移動祝祭日だとこのとき思ったのだった。

ミスなんとかかもしれない。

美女たちに見つめられると恥ずかしい。

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