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「波濤を越えて
ある年のことだ。ヨーロッパを回る旅が終わり,明日は帰国するばかりということで,夕食の後フランクフルトの中心部にあるバーで飲んだ。ドアを開けて中をのぞくと数人の男たちが飲んでいて,女性客の姿はなかった。Mが心配したので,「女性が入ってもかまわないか?」と聞くと,バーテンダーは「どうぞどうぞ」と招き入れてくれた。

ほかの客たちと一緒になって飲み,盛り上がったのはいつものことだ。彼らとともにビールやアップフェルワインを飲み,「ユーハイム」が共通の話題となった。ドイツ語で「野ばら」を歌うと,彼らとの距離はさらに縮まった。夜も大分更けて彼らが帰り,バーテンダーは「記念に」とビールグラスをおみやげに包んでくれた。

勘定は彼らが払っていったと言う。どういうわけか,あちこちで借りを作ってしまう。

この夜の痛飲は効いた。翌朝はひどい二日酔いで,フランクフルト駅のカフェで1リットルのコカコーラを飲んでもまだ水分が全然足りなかった。空港に着いても頭痛は消えることはなかった。ターミナルのロビーで頭を抱えていると,老演奏家がマジックバイオリンで演奏していて「波濤を越えて」が始まった。いつもなら気分が高揚する曲だが,このときだけは頭の中が撹拌されるようでこたえた。

ローザスの「波濤を越えて」を聞くたびに,このときのフランクフルト・マイン国際空港を思い出すのだ。

機内から見るターミナル。この空港は思い出が数多い。初めて
ヨーロッパに行ったときに着いたのもこの空港だった。

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