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「当機は準備が整いましたので、間もなく出発いたします。どなた様もお席にお着きになり、シートベルトをしっかりとお締めください。」と機内アナウスが流れる。客室乗務員たちが頭上の荷物棚の扉を閉じて回る。小さな牽引車両が巨大な飛行機を引っ張って駐機場をゆっくりと離れ、誘導路に移動させる。ほとんどの航空会社は、動き始めたこの時を出発時刻とするようだ。

次に、安全に関するビデオが上映される。タキシングが始まり、誘導路を滑走路へと向かう。そして離陸だ。

さて、旅の始まりはいつだろう。それは人によって異なるだろう。戸締まりをして家を出る時という人もいるだろう。空港に着いて航空会社のカウンターでチェックインをした時という人もいるだろう。イミグレーションを通過した時という人もいるかもしれない。
僕の場合は、これらの過程の中で、飛行機に乗り込んで着席したあと、客室乗務員が頭上の荷物棚の扉を閉じて回る時が旅の始まりだ。この時が好きだ。「さあ出発だ」という気分がわき起こる。

ある著名な文筆家は、機内に乗り込んで座席に座り、客室乗務員からスパークリングワインをもらった時が旅の始まりだと書いていた。これはビジネスクラスに限った話で、この文章はちょっと気障な感じがする。僕はいつもビジネスとは限らないし、エコノミークラスの場合も少なくない。スパークリングワインのこともわからないわけではないが、頭上の荷物棚の扉を閉じる時が、僕にとっては旅の始まりとなる。

さあ、旅が始まる。

タイ航空、機体はA330-300。

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